25日に再登録され151キロを計測…好調時にチームを離れてしまった心境は
信頼を積み重ねていたところで高熱に見舞われた。2-4で敗れた25日のオリックス戦(PayPayドーム)。ソフトバンクの4番手で登板したのは松本裕樹投手だった。結果は1回無失点2三振を奪い「普通に投げられたかなと思います」とクールに振り返っていた。
8回にマウンドへ。まず紅林を内角への直球で三ゴロに仕留めた。続くゴンザレスは148キロの直球で見逃し三振。若月はフォークで空振り三振と、15球で任務を終えた。スライダーとフォークを駆使して、直球は151キロを計測。「自分で出力を上げたっていう時にしっかり出ていたので、よかったと思います」と、自分の感覚にも手応えを感じていた。これで連続無失点を9試合に伸ばした。
藤本博史監督も「1回、投げさせてみようということだったので。“まあまあ”なピッチングだったんじゃないですか」と評価する。5月13日に一度、登録抹消となり、23日に再登録。リフレッシュを兼ねた10日間で、そこからは8試合連続でゼロを並べていたが、体調不良で、6月11日に2度目の抹消に。どんな症状が松本裕を襲ったのか。本人が明かした。
「まずはしっかりと体調を戻すことと、体力とか、そういう面ですね。いち早く戻るためにっていうのを意識してやっていました。僕は熱だけでした。40度くらい上がったんですけど……。熱が出ている間は寝たきりで、1日が長く感じました」
同じく体調不良で苦しんだ大関友久投手は喉の痛みもあったというが、松本裕は「僕はそういうのもなくて、喉とかは大丈夫でした」という。高熱がありながらも「“冷えピタ”は貼っていないですけど(体は)冷やしながら、とか。ひたすら寝ている感じでした」と、とにかく熱が下がるのを待つしかなかった。幸い、極端に体重が減るようなことはなかったという。
「特例2023」での抹消前は好調で、首脳陣からの信頼も目に見えるほど高まっていた。そんな中での、予想しなかった離脱。もどかしい思いは「なかった」というが「チームを離れることになるのは申し訳なかったです」。寝たきりの日々でも「あの時(好調時)の感覚は自分の中でも残っていたので、そこに戻していく感覚で。色々と変えることなく」と、つかんだ感覚は今も手放していない。
再び立ち上げる段階でも、はじめはキャッチボールだけで「バテバテでした」と苦労した。動き出して以降はスムーズな回復を見せて、2度のブルペン投球を経て2軍戦で調整登板。「期間がそんなに長くなかったので、そこまで時間はかけずに戻ってこられたのかなと思います」と早期の1軍復帰だけを目指してきた。
1軍に戻り、ここからはもう一度信頼を積み重ねていく段階だ。「常に抑え続ければ信頼は上がってくると思うので。これからもそういう投球を続けていけたら」と松本裕自身も足元だけを見つめた。万全なコンディションで、ブルペンからチームの力になる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)