登板直後に始まる「次への準備」 帰宅は深夜0時過ぎ…大関友久に見たストイックな姿

ソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・大関友久【写真:藤浦一都】

その日の気分で左右されない大事さ「次の登板で痛い目を見る」

 すでに日付は変わっていた。5月30日の中日戦で7回3失点にまとめて4勝目を挙げたソフトバンクの大関友久投手。勝利投手となったこの日、大関が本拠地PayPayドームを後にしたのは午前0時を過ぎてから。試合終了から約3時間も経っていた。

「あまり正直良くはなかったんですけど、なんとか6回、7回は粘れたんでよかったです」。初回、細川に右中間への二塁打を浴びるなど、毎回のように走者を背負う展開だった。4回には木下に2ラン、5回にはブライトに適時打を浴びて失点。それでも味方の大量リードもあって、7回まで110球で投げ抜いた。

「投げる感覚がまとめきれないまま投げてしまった部分もあった。それは反省というか、良くないところだったんですけど、6回途中ぐらいからいい意味で開き直れて、投げる感じも取り戻せてきた。7回は状態を上げていけたかなって感じです」。試合後、こう振り返った大関。すでにこの時、時計の針はてっぺんを回っていた。

 この日、試合が終わったのは午後9時20分頃。大関はここから3時間近く、何をしていたのだろうか。そこには「次の登板に向けた準備は始まっている」という、こだわりのルーティンがあった。

「肩周りのトレーニングというほどじゃないですけど、ケア的な感じで。インナーマッスルに軽く刺激を入れたり、投げると骨の位置が多少ズレたりするものなので、そういうのを元に戻したり、というのをやっています。あとはトレーナーさんに治療をしてもらったり、アイシングをしてもらったりしています」

 登板直後で疲労があったとしても、やるべきことは欠かさない。軽いとはいえトレーニングを行い、ケアや治療にもしっかりと時間をかける。「次に向けてのって感じですね。登板直後にやるというのが結構、大事で。登板翌日は休むので、登板した日まではしっかりやることをやるって感じです」。登板が終わったところから、次への登板の準備は始まっている。

 食事面でもそうだ。試合が終わると、軽い食事とサプリメントですぐに必要な栄養素を補給する。「登板が終わったらすぐ炭水化物とタンパク質はしっかり摂ります。もう1回、時間を置いてから家に帰ってしっかりご飯を食べるんです」。この日、家路に就いたのは0時を過ぎてから。それでも自宅に戻ってから、栄養士に作ってもらっている食事を摂るという。

 プロ野球の世界で結果を残すためには、これほどまでの自己管理が必要なのだ。その日の気分でやることを左右されてはいけない。「そうすると、次の登板で痛い目を見る。そこはしっかりやろうと思っています」。勝っても、負けても、調子が良くても、悪くても、試合後にやるべきことはブレない。帰りの時間が遅くなろうとも、そこは徹底している。

 今季は初の開幕投手も任された。その投球ももちろんだが、こうした野球に取り組む姿勢が首脳陣やチームメートからの信頼にも繋がっている。この登板のあと、大関は発熱などの体調不良を訴えて戦線を離脱。リハビリ組での調整を経て、17日にタマスタ筑後で行われたファーム交流戦のロッテ戦で実戦復帰した。鷹の“エース道”を歩み始めた大関の1日も早い1軍復帰をファンは待っている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)