15日の阪神戦で3回6失点でノックアウト「もらえるチャンスを生かせてない」
ファームでも“生存競争”が繰り広げられてきた。特に厳しかったのが先発投手陣。有原航平投手やジョー・ガンケル投手、森唯斗投手ら1軍でも実績がある投手がズラリと名を連ねていたことで、若い投手たちが押し出されるように3軍、4軍でマウンドに上がっていた。その1人が昨季、2軍で先発ローテを担っていた育成の三浦瑞樹投手だ。
「今日こそ」と意気込んで挑んだ一戦は悔しいマウンドとなった。15日にタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの阪神戦。育成2年目の左腕は今季3試合目の2軍戦登板だった。だが、結果的に3回6失点でノックアウト。本来であれば、制球力が持ち味で、ゾーンに投げて打たせて取るタイプの三浦だが、初回に安打と3四球で2失点。3回までに70球を要してマウンドを降りることになった。
ルーキーイヤーの昨季、シーズン途中から2軍の先発ローテに入り、11試合に登板して4勝0敗、防御率2.60と頭角を現した。だが、今季は高い壁が立ちはだかった。新戦力が加わり、競争が激化。昨季のようには2軍での登板機会を得られず、今季初登板は5月5日の中日戦だった。6回1失点と好投したものの、2度目のチャンスは約1か月後、6月8日のオリックス戦。勝敗はつかなかったが、6回2失点とこれまた粘投を見せた。
限られた登板機会に“一発勝負”と集中して挑んできた三浦。3度目の登板で3回6失点KOされ「コースを狙いすぎて外れてしまった所もある」と唇を噛んだ。2回は海野隆司捕手に「厳しいコースは狙わなくていい」と言われ、大胆に攻めて立て直したかに見えたが、3回には再び安打や四球で走者を背負い、味方失策も絡んでさらに4点を失った。
「去年はかなり2軍で投げさせてもらったけど、今年は本当に投げる場所がある時しか2軍では投げられない。1試合1試合、残れるか残れないかの中で投げていかないといけなかった」
貴重な登板機会だからこそ、かける思いも強かった。これまでの2試合も好投したが、立ち上がりは良くなかった。プレッシャーや緊張感がある中で、結果を残したことを評価していた小久保裕紀2軍監督は「3回も同じことすると、評価は下がりますよね」と今回ばかりは苦言を呈していた。
3試合とも、初回に先頭打者の出塁を許した。ストライク先行の投球ができず「自分でピンチを作って、自分で流れを持って行けなかった。もらえるチャンスを生かせてない」と悔しがった。「前回、立ち上がりは緊張感があるにしても、途中から自分のピッチングが出来たことを小久保監督にも評価してもらったからこそ『今日こそ初回を』と思っていました」。指揮官の言葉に応えたかった。マウンド上で「なにやってんだ」と己を奮い立たせたが、結果を残せなかった。
有原やガンケルが1軍に昇格したからとって、2軍の競争は変わらず激しい。次のチャンスを簡単にもらえるとも思っていない。だからこそ「次の登板がもらえたら」とした上で「次ダメだったらもう先はない、くらいの気持ちで投げたい」と背水の思いを抱く。結果も内容も伴ったアピールをするために、再び鍛錬を積む覚悟だ。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)