鷹フルがお届けする主力4選手による月イチ連載、周東佑京選手の「6月後編」です。今回のテーマは「同級生」。昨年の現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎投手は、育成での同期入団で同級生。今の活躍をどう見て、刺激をもらっているのかを語ってくれました。育成選手時代の意外な秘話も明かされています。周東選手の月イチ連載の次回掲載は7月10日(月)の予定です。
2018年の育成ドラフト2巡目で周東は東農大オホーツクからプロ入りした。大竹は同じく育成4位で早大からの入団。育成ドラフトで大卒は2人だけ。支配下のドラフトで2位指名された高橋礼投手や4位だった椎野新投手らとはまた違った“括り”だった。高校時代は群馬と熊本、大学時代は北海道と東京だったため、試合をしたことがないというが「高校の時からすごかったですし、もちろん知っていましたよ」という。
「育成で大卒が2人だったので、最初から話はしていました。結局、分けられるので。僕らと礼とか椎野とかとは。同級生だったので(大竹とは)普通にラフに話していましたよ」
大竹は2018年7月29日に、周東より一足先に支配下登録された。育成の同期から支配下登録“一番乗り”となり、周東も「チーム状況とかもあったので、素直に頑張ってほしいなと思いました」と振り返る。自身はルーキーイヤー。「大竹に限らず、拓也(甲斐)さんとか千賀さん、豪(釜元)さんとか、上の人も支配下になっていたから大丈夫というか、なんとかなるんじゃないかと思っていました」と、育成から戦力になった先人たちの背中を追うように努力を重ねてきた。
大竹は同年の8月1日の西武戦でプロ初登板を果たし、周東も「HAWKS ベースボールパーク筑後」にある「若鷹寮」から「その試合は見ていました」と明かす。結果的に大竹は8回2失点で初登板初勝利を掴んだ。周東は2019年3月に支配下登録されると、2020年には50盗塁でタイトルを獲得。今年3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表として世界一を経験するなど、それぞれのキャリアを歩んでいる。
支配下登録されることを球団の人間から伝えられた時、大竹はグラウンドで涙を流したという。2019年3月に支配下に昇格した周東は当時の心境を「覚えていないですね……」と笑う。オープン戦も1軍でプレーしていただけに「あそこまで帯同させてもらっていましたし『あるかな』くらいに思っていました。結果は出ていなかったですけど」と予感と期待を抱いていた。
「やっとプロ野球選手になれたなと思いました。育成はプロだけど、プロじゃないなと思いますから」
周東は3月26日、川原弘之投手(2022年からスコアラー)とともに支配下登録された。育成の選手にとっては、通過点でもあり、夢にまで見た支配下登録という瞬間。周東は当時を振り返り、驚きのエピソードを披露した。
「僕、川原さんから聞きましたもん、逆に。球団の人に言われる前に。多分、川原さんが先に聞いていたから、川原さんに『明日会見でしょ?』って聞いて『あ、そうなんですか』みたいな」
なんと“フライング”で川原スコアラーから吉報を知らされていた。翌日、スーツを着て、ハンコを持参して球団事務所へと向かった。待望の支配下契約を交わした。大竹とも同じ舞台で戦うことになり、そのスピードで何度もホークスの勝利に貢献してきた。
昨年行われた現役ドラフトで大竹は阪神に移籍した。ここまで9試合に登板して6勝1敗、防御率1.24の成績。5月は4試合に登板して3勝0敗、防御率0.33で自身初の月間MVPに輝いた。周東もその活躍を「すごいなと思います。めちゃくちゃすごいです」とうなるしかない。移籍というニュースも「どこの球団にいっても、やれるだけのことはやっていると思って見ていました」と、今季からは敵チーム同士となった。
大竹は17日に、5年間在籍した古巣のホークス戦に先発登板する。どんな結果になっても大竹にとって、ホークスにとって、そして周東にとって思い出の一戦となる。どんな形で周東には出番がやってくるのか。目が離せない一戦になりそうだ。