16日の阪神戦は6回4失点で交流戦最多タイの28勝目はならず
聖地での登板は悔しいものになった。ソフトバンクの和田剛投手は16日、甲子園球場で行われた阪神戦に先発し、6回4失点。5回まで犠飛による1点に抑えていたものの、6回に一気に3点を失って降板。交流戦最多タイに再び並ぶ白星は、来年に持ち越しとなった。
序盤は完璧な内容だった。3回まで阪神打線を相手に1人の走者も許さないパーフェクト投球を展開。4回に無死満塁のピンチを招き、犠飛で1点を奪われたものの、5回までわずか2安打に封じていた。
暗転したのは6回だった。先頭の中野を左前安打で出塁させると、2死一塁で代打の原口に左中間を破る適時二塁打を浴びて勝ち越しを許した。さらに続く佐藤輝には痛恨の2ランを被弾。6回を投げて5安打4失点。「(ホームランは)失投だったとは思いませんが、うまく打たれてしまった。僕の力不足かなと思います。チームに申し訳ないです」。味方の援護にも恵まれず、今季2敗目を喫した。
和田にとって刺激だらけの交流戦だった。その1つが球界最年長投手のヤクルト・石川雅規投手の存在。「自分より年齢が1つ上ですし、1軍のマウンドで投げられてる姿を見ると、やっぱりまだ自分も頑張れるという気持ちにさせてもらっている」。石川が43歳、和田は42歳。不惑を過ぎた左腕2人が、交流戦歴代最多勝利で熾烈な競争を繰り広げてきた。
1歳年下の和田が9日の巨人戦で今季5勝目を挙げた。交流戦通算勝利数を「27」に伸ばし、単独トップだった石川に肩を並べると、石川は翌10日の西武戦で今季2勝目。交流戦通算28勝目をマークして、和田に1つの差をつけた。この阪神戦は、和田が再び石川に並ぶチャンスだった。
15日に行われたヤクルト戦前の練習では、石川としばし言葉を交わすシーンがあった。「どんなトレーニングをしているの、という話だったり、石川さんは何されてるんですか、とか。結構、共通してるところもあったので、すごく自信になりました」。互いに共有し合った“長寿の秘訣”。「自分も石川さんのような背中でいられるように日々努力していきたい」。和田にとって、球界最年長左腕は目指すべき存在でありお手本。現役でただ1人の“先輩”に再び肩を並べるチャンスだったが、それは来季に持ち越しとなった。
もう1つは後輩の存在。阪神には昨季までソフトバンクでプレーし、1月の自主トレを共にした大竹耕太郎投手が在籍する。早大の後輩でもある大竹は17日に登板が予定されており、惜しくも1日違いで投げ合いは実現しなかった。「僕がまだ野球をやっていれば可能性はあると思うんで、それはその時の楽しみにしたい。ゆっくり大竹のピッチングを見られますし、それはそれで楽しみの一つでもあるので」。自分が勝って大竹のピッチングを見守りたかったが、それも残念ながら叶わなかった。
6回こそ崩れたとはいえ、5回までの投球は役割を十分に果たしたと言える。真っ直ぐの威力も、コントロールも上々だった。42歳の大ベテランは、この先もチームにとって欠かせぬ戦力であり続ける。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)