7日のDeNA戦後に「和巳さんから呼ばれた」…かけられた言葉とは
SNSにアップした1枚の写真が反響を呼んだ。試合終了直後、うなだれる大津亮介投手に斉藤和巳投手コーチが肩を組んで声をかけるシーンだった。ファンからも「この悔しさを糧に大エースに成長して」「ホークスファンは大津くんの偉大さをわかっているからね」「悔しがる選手を見ていて応援したくなるわ」と、大津を励ます声が数多く届いていた。
場面は7日のDeNA戦(PayPayドーム)の9回。4点リードの状況で、大津が3番手としてマウンドに上がった。先頭の牧に中前打を浴びると、続くオースティンへの3球目が暴投となり走者が二進する。オースティンは中飛に打ち取ったが、楠本にユニホームをかすめる死球を与えた。1死一、二塁で大津は降板。リバン・モイネロ投手が登板するという展開になった。
モイネロは打者2人を打ち取り、3セーブ目が記録された。試合終了直後の喜びのハイタッチの中、1人だけ悔しさをあらわにしていたのが大津だった。「真っ直ぐが引っかかっていたり、スライダーも初めて抜けていたし、死球も初めて。らしくない投球だったと思います」を振り返る。悔しい降板から一夜明けた8日、斉藤和コーチから声をかけられた瞬間の心境を明かした。
「『悔しい』しかなかったです。せっかくもらったチャンスだったので。『悔しい』しかないです」
結果的に連投となったモイネロを休ませられる状況だっただけに「悔しいのはそれもあります」と、チーム状況もしっかりと頭に入れて臨んだ登板だった。声をかけてきたのは斉藤和コーチからだった。その中身を「『気にするな。今日はたまたまこういうことになったけど』みたいな。『今まで頑張っているから大丈夫』って」と明かす。
今季21試合に登板して防御率2.95と奮闘するルーキーの頑張りを、誰よりも理解しているのが斉藤和コーチだ。大津にとってプロに入って初めて出会った投手コーチ。「優しいので、コーチというよりも、もっと近い感じです。いつもお話してくれたり、イジってくれたりする存在です」と表現する。ファンからSNSに届いた声は、まさに斉藤和コーチが大津に伝えた言葉とほぼ同じだった。
シーズンは6月に突入した。状態を「やっぱり開幕当初ほど体は軽くない。これを1年間通すにあたっての課題っていうのは今から出てくる」と受け止めている。7日の悔しさは「めっちゃ引きずりました。でも、切り替えないといけないですし、何回かこういうことを経験したので。寝て起きて、もう昨日の話はしないって感じ」と自分なりにオンオフを切り替えているつもりだ。
クールでひょうひょうとした印象があるかもしれないが、大津は自身の性格を「めっちゃ負けず嫌いです。小学校の時から」と表現する。この試合に限らず「打たれた時は毎日めっちゃ悔しいです。昨日は本当に悔しすぎて、(スイッチが)オフになった時に、体で表現したんだと思います」と今だから自己分析できる。長いシーズン、やり返すチャンスはすぐにやってくる。
「淡々と投げたいです。淡々とテンポ良く。心配されないように、ゾーンでストライク先行できるように」と話す表情は、リベンジだけを真っ直ぐに見据えていた。大津の投球はもちろん、感情表現にも注目して、次回登板も見守ってほしい。
(竹村岳 / Gaku Takemura)