試合後の若鷹スピーチで反省の弁 球団から厳重注意…木村大成が歩み出す再出発

ソフトバンク・木村大成【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・木村大成【写真:上杉あずさ】

3軍戦で5回無失点と好投、試合後にマイクを握り「応援してくださる方々のために」

 思いが伝わってくるマウンドだった。試合後に行われる若鷹スピーチ。「今日は、3軍戦の応援に来ていただきありがとうございました。いろいろな感情を持ってマウンドに上がったんですが、抑えることが出来てよかったです。これからも野球ができる喜びと応援して下さる方々のためにも一生懸命頑張ります。応援よろしくお願いします」。マイクを握りしめ、紡いだ一言一言には、反省と感謝の思いがこめられた。

 言葉の主は2年目左腕の木村大成投手だ。5日にタマスタ筑後で行われた四国IL愛媛との3軍練習試合に先発し、5回1安打無失点7奪三振と好投した。ルーキーイヤーの昨季は早々に2軍デビューを飾ったが、その後、左肩の怪我で長いリハビリ生活を余儀なくされた。実戦復帰した今季は、3軍戦で登板するも「去年のように投げられなくなった」と苦闘していた。ダイナミックに脚を上げる投球フォームに挑戦し、新しいスタイルを築き上げようとしていた。

 そんな時だった。週刊誌に“未成年飲酒”を報じられ、球団から厳重注意を受けた。木村大自身、軽率な行動を猛省した。その後も3軍の四国遠征に同行。この日は遠征を終えて、福岡に戻り、久しぶりの本拠地での登板だった。「いろいろな感情を持ってマウンドに上がった」。木村大は平日の夜にも関わらず、球場に駆け付けてくれたファンの前で1球1球全力で腕を振った。時折、雄叫びを上げるほど気持ちのこもった熱い投げっぷりだった。

 試合後、奇しくもファンの前で自ら言葉を発する機会を得ることになった。自ら切り出すことには、きっと勇気が必要だったに違いない。木村大は素直で真っ直ぐな男。このまま放っておいてはいけないと、自らファンに想いを伝えようと切り出した。木村大の思いを感じ取ったスタンドからは、温かい拍手が送られた。

 木村大はその後、取材にも対応した。

「野球以外のことですごく迷惑をかけてしまったので、野球で取り返すっていう感情とか、応援してくださる方々のためにとか、そういう色々なこと考えてマウンドに上がりました。絶対に同じ過ちは繰り返しません」

 真っ直ぐな瞳で反省の弁を述べた。軽率な行動による過ちは犯したが、反省する中で思いはより強くなった。応援してくれるファンの存在。「応援のメッセージだったり、筑後に来て『頑張って』と言ってくださる方々がいて。こんな僕でも応援してもらえるんだって。そういう人たちのために絶対に活躍していかなきゃいけないなって思いました」。木村大は今まで以上に“プロ野球選手”であることに責任を持ち、支えてくれるファンにプレーで恩を返す覚悟でいる。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)