痛恨だった7回の栗原陵矢の“盗塁死” ソフトバンクベンチのサインの真実は…

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:荒川祐史】

同点に追いつき、なおも7回1死一塁のチャンスで栗原がスタート

■中日 6ー5 ソフトバンク(1日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは1日、本拠地PayPayドームで行われた中日戦に5-6で競り負けた。初回に柳町達外野手の適時打などで2点を先制したものの、先発のジョー・ガンケル投手が5回途中4失点で降板。2点を追う7回に柳田悠岐外野手の適時二塁打などで追いついたものの、8回に5番手の津森宥紀投手が高橋周に勝ち越しの適時二塁打を許し、これが決勝点となった。

 もどかしい展開だった。幸先よく2点を先行したものの、直後の2回に内野ゴロと犠飛で同点に追いつかれた。3回には柳町の適時打内野安打で再び1点をリード。だが、ガンケルが5回に四球と死球が絡んでピンチを招くと、細川に2点適時二塁打を浴びて逆転された。7回に振り出しに戻したが、また直後に勝ち越し点を献上した。

 試合後、藤本博史監督は「逆転まではいかなかったけどね。追いついたら離され、追いついたら離され、だから。後から投げたピッチャーは、一発注意というか、1点差だったら十分チャンスあるんだから、それを注意してやってくれたらいい。打たれたのは全部高いからね。そこだけです」とコメント。2度あった得点直後の失点を悔やんだ。

 攻撃面で痛いミスもあった。同点に追いついた7回だった。1死から近藤健介外野手が四球で出塁。続く柳田の適時二塁打で1点差に迫ると、栗原陵矢外野手の中前安打で中堅の岡林がボールをファンブル。その間に柳田が生還し、同点に追いついた。なおも1死一塁のチャンス。迎えた柳町の3球目でそのプレーは起きた。

 一塁走者の栗原がスタートを切った。打席の柳町のバットは清水のフォークに空を切った。栗原は二塁で憤死。2死走者なしとなり、反撃ムードは萎んだ。

 この場面、試合後、藤本監督は「盗塁じゃないの」と煙に巻くように、多くを語らず口をつぐんだ。ただ、実際にベンチが柳町と栗原に出したサインは「ヒットエンドラン」。なんとかチャンスを広げたい、早い段階で勝ち越してたいというベンチの勝負手だったように映るが、それは実らなかった。

 交流戦初戦を大勝で飾りながらも、まさかの2連敗で痛い負け越し。この1敗が尾を引かないことを願いたい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)