2者連続死球の後に打席へ…栗原陵矢の胸中は? グラウンドの選手が感じていた空気

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

中日の橋本侑樹が3者連続死球…藤本監督は「そんなに心配ないです」

 なかなか見ない光景だった。13-5でソフトバンクが大勝した30日の中日戦(PayPayドーム)。この試合で球場が騒然となった場面があった。4回のホークスの攻撃中だ。中日の左腕・橋本が近藤健介外野手、柳田悠岐外野手、栗原陵矢外野手に3連続死球を与えて、1死も奪えず降板となった。近藤、柳田が連続で死球を受けた後に打席に立った栗原陵矢外野手はどんな思いだったのか。心境を聞いた。

 4回1死二塁で中村晃外野手を迎えたところで、中日ベンチは先発の福谷から橋本へとスイッチした。中村晃が四球を選ぶと、牧原大成内野手は右前適時打。そこから近藤は初球の直球が抜けて背中にボールが直撃。柳田は抜けた変化球がユニホームをかすめて死球。栗原は3ボールからの直球が右の脇腹を直撃し、しばらくその場にうずくまった。

 試合後、藤本博史監督は「当てにきて、当てているわけじゃないから。抜けた球ばかりですからね。近藤だけはまともに当たって、あと2人はかすっただけだからそんなに心配ないです」と淡々と話した。では、実際にグラウンドに立ち、生の空気を感じていた選手はどう感じていたのか。

 栗原は2連続死球の後、なおも1死満塁の場面で打席に向かった。目の前で同じ左打者が死球を受けている。なかなか制球が定まっていない相手投手を見れば、少なからず恐怖心が湧いてもおかしくはない。だが、栗原はケロッとした表情で明るく答えた。

「全然、全然! 打ちたかったですけどね。打点もついたので、幸せでした」

 とにかくチームが勝利に近づく得点に繋がったことを喜んだ。体が引けたりといった変化も「ならないですよ。あまり変わらなかったです」とキッパリと言った。周囲が思うほど、グラウンドにいる選手は意外と気にはしていないのかもしれない。チームが勝ち、体も無事であることが何よりだった。

 27、28日のロッテ2連戦(PayPayドーム)では、右手の人差し指の爪が割れた影響で指名打者での出場だった。この日は三塁に復帰して、無難に守備機会もこなしていた。昨季5試合出場に終わっただけに、今季への思いも強い。相手へのリスペクトも胸に、チームのためにグラウンドに立ち続ける。

(竹村岳 / Gaku Takemura)