エースの役割を期待される左腕として、意地がある。ソフトバンクの大関友久投手23日、エスコンフィールドで行われた日本ハム戦で3勝目を挙げた。再三のピンチをしのぎ、5回2失点。球団を通じて「調子が良くない中で、5回を2失点に抑えることができたのは良かったと思います。リズムの悪い投球でしたが、その中でも点を取ってくれた野手の方に感謝したい」とコメント。バックに感謝し、白星の喜びをぐっと噛み締めた。
1点リードの2回1死からマルティネスに同点ソロを浴びた。3回に勝ち越してもらっても、5回1死一、二塁から万波の適時打で再び同点とされた。6回の柳田悠岐外野手の決勝ソロで、今季3勝目が転がり込んできた格好だが、本人のコメントからは試行錯誤を繰り返していた様子がうかがえる。ただ素直には喜べなくても、白星こそ最高の薬だ。
4年目の今季、初の開幕投手を託された。試合前の時点で7試合に登板して2勝4敗も、防御率は1.84。主にカード頭に登板して、チームの先頭を走っている。ここまでマッチアップした相手先発は、ロッテの小島と種市、西武の高橋、楽天の岸と早川、オリックスの宮城、日本ハムの伊藤の7投手。好投手との対戦が続き、黒星が先行していても、やはり意地がある。
「1度、こうやってカードの頭を任せてもらっているというか、置いてもらっている。それで『なかなか勝てません』となって、そこを簡単に降りたくない。だったらずっと1戦目で勝てるようになるまで投げたいという気持ちです。そこをしっかりと勝てる投手に近いうちに……。近いうちにというか、すぐにでもなれるようにと思ってやっています」
5月の4登板は全て週の頭となる火曜日。「(他の曜日が)楽なところとは言いたくない」と心からのリスペクトも強調する。大関が言いたいのは、今任されているポジションを自分の不甲斐なさで外されたくないという意地だ。「単純にそこで勝てるようにならないと、いつか壁にぶち当たる」。4年目の25歳。大関にとって壁を乗り越えるのは“いつか”ではなく、まさに今なのだ。
「相手投手と勝負するつもりはないですけど、どこで投げてももちろん勝ちたい気持ちがありますし。1試合1試合、成長するために投げる試合なんてないので。結果的に成長するのはいいですけど。そこはもう、勝ちにこだわっていきたいです」
この日の相手先発はメネズで打線は4得点。「相手もいい投手ばかり。2点も3点も取るのが難しいのは当たり前。だから自分がその投手よりいい投球をするか、しないか。毎試合しっかり意識を持って投げています」と、常に自分に矢印を向けていた姿勢が大関らしい。我慢し続けた分、白星が最高のプレゼント。何度も助けてくれた野手に感謝しかなかった。
前回、前々回は完投し、今回は5回103球でお役御免。まだまだ発展途上の左腕は周囲の力を借りて、胸を張ってホークスのエース道を歩む。