「1軍の試合は見たくなかった」 2軍で実戦復帰した牧原大成が明かした不安と素直な気持ち

2軍で実戦復帰したソフトバンク・牧原大成【写真:上杉あずさ】
2軍で実戦復帰したソフトバンク・牧原大成【写真:上杉あずさ】

左太ももの肉離れで戦線離脱「正直不安なところはありました」

ソフトバンクの牧原大成内野手が19日、タマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの広島戦で実戦復帰した。「1番・DH」でスタメン出場すると、いきなり第1打席の初球を中前打にするなど3打数1安打。「足の不安よりも久しぶりの実戦というところの不安が大きかったんですけど、結果が出て良かったです。思った以上にコンタクトできていた」と安堵の表情を浮かべた。

 4月27日にPayPayドームで行われた楽天戦で「左大腿二頭筋損傷」を負い離脱。復帰まで1か月との診断だったが、予定より早く実戦にこぎつけた。「本当に自分の想像以上に治りも早くて、できることができていたので、よかったかなと思います」。自身も驚くほど順調に回復し、予定を前倒ししてグラウンドに戻ってくることができた。

 開幕前には「侍ジャパン」の一員としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場し、代えの効かないレギュラーとしてシーズンを迎えた。チーム事情により、専念を誓っていた中堅手ではなく二塁手での出場が主だったが、3割前後の打率を残し、主に5番打者として打線の中核を担っていた。だが、4月27日の楽天戦、第3打席の三ゴロ失策で一塁を駆け抜けた際に左太ももに異変が起こった。

「(気持ちが落ちたのは)怪我した瞬間ですね。最初に撮った画像を見たら、本当に“終わった”っていうレベルぐらいだった。改めて診察してもらったら意外と大丈夫でしたけど。今年1軍で順調に結果出ていたんで、そのままいければっていうところで、怪我をしてしまった」

 レギュラーとして確固たる地位を築いていたからこそ、アクシデントに気持ちは揺れた。離脱している間にポジションが奪われてしまうのではないか。そんな不安を牧原大は隠さずに明かす。

「本当、1軍の試合も全然見たくなかったですし、誰がセカンドであったり、センターを埋めるんだろうなっていうのは、正直不安なところはありました。セカンドにしたら、今は川瀬が頑張ってますけど、三森があまり良くなかったんで、あまり焦りはなかったですね」

「もちろんチームが勝つことはすごくうれしいんですけど、やっぱり自分が何もしてないのってあんまり楽しくもないです。同じポジションのヤツが打っても素直には喜べないですし、勝ったときのみんなの笑顔を見てて、自分がそこにいないのはすごく悔しかったです」

 怪我で離脱し、自分がいないチームを見つめるのは、選手にとって当然楽しいはずがない。怪我が治った時に、自分が戻る居場所はあるだろうか――。そんな不安を抱えながら、リハビリに励んだ。「本当に再発だけはしないように、しっかり制限ある中でやることはしっかりやって、それ以上に自分ができるって思ったんで、それ以上の動きの強度というところを意識してやっていました」。焦らず、それでいて1日でも早く戻る。必死に目の前のやるべきことをこなした。

 この日は天気の不安があったために指名打者での出場だったが、20日の同戦では守備にも就く予定。「段階を踏んで、再発だけはしないように。明日は守備にも就いて、イニングを伸ばしていったりっていう段階を踏んでいければ、大丈夫かなと思います」。あとは実戦機会を重ねていくだけ。牧原大が1軍に戻ってくる日が近づいてきた。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)