ニコニコ近づき「読んだ?」 毎週金曜のネタバレ未遂…“和田さん”のお茶目な素顔

ソフトバンク・和田毅【写真:竹村岳】
ソフトバンク・和田毅【写真:竹村岳】

自主トレ“門下生”の早川との投げ合い「情けない姿は見せられない」

■ソフトバンク 4ー2 楽天(26日・PayPay)

 ソフトバンクの和田毅投手が26日、楽天戦で先発し、5回2/3を投げて2失点で今季2勝目をつかんだ。今季の1勝目で球団最年長勝利を更新したが、自己記録をまた更新。「ここ2試合、自分自身あまり良くなかったので。初回から飛ばしていって。相手も自主トレを一緒にしている早川だったので、情けない姿は見せられないと思っていました」と、若々しい笑顔で汗を拭った。

 3回まで走者を出さない、完璧な立ち上がりを見せた。4回1死から島内、浅村に連続でソロアーチを浴びたが傷口は広げず。崩れそうになったが踏みとどまり、チームの連敗も「5」でストップだ。今季初めてのPayPayドームでの登板。お立ち台に選ばれて「絶対に連敗を止めるという気持ちでマウンドに上がりました」とマイクを握った。

 2月に42歳を迎えたばかりで、パ・リーグでは最年長選手。最近、年を取ったと思うことは「白髪が増えてきたことです。前よりは増えてきたなと思います」と明かす。ケアについては「何もせず、放っておいています。真っ白になったり、もっと増えてきたら染めるのも考えるかもしれないですけど、もしかしたら染めないかも」と笑う。野球以外の部分で、年齢を感じてしまうことも多くなってきた。

 若い頃に比べれば、ダッシュの本数も少なくなった。「前みたいに120球とか、130球とかはもう投げられない」と練習に対して“量”からアプローチすることは少しずつできなくなってきた。それでも「そこは自分でもアップデート、進化していかないといけない。年を取ったから球速が落ちてもいいという考えだともっと衰えていく」と、努力も準備も怠るつもりは一切ない。

 家に帰れば1人の父親。家族孝行についても「僕の中では普通のこと。サービスっていう感覚もないです」とキッパリと言う。野球以外のことは「自分のことに関しては適当なんじゃないですか。気にしなくなってきました」と笑顔だ。自宅での時間も「普通にソファーに寝っ転がって漫画を読んだりしますよ。そういう時間もあるから、野球に集中できる。オンとオフの切り替えがないとしんどいので」と意外な一面を明かした。

 大人気の海賊漫画「ONE PIECE」はメジャーリーグに挑戦するまでしっかりと読んでいた。「“白ひげ”が出てくるくらいまでは読んでいました」。現在、愛用しているという漫画アプリが1つあるといい、ハマっている作品は「いっぱい読んでいるので。言ってもわからないと思います。有名なやつではないので」と具体的には明かさなかった。和田の中では、誰もが知るメジャー作品というわけではなさそうだった。

 そんな和田を「漫画仲間」だと表現するのが、伊藤祐介打撃投手だ。和田におすすめした作品が「僕だけレベルアップな件」。主人公の水篠旬が母親の病院代を稼ぐために一流のハンターを目指す。主人公にだけ、自分がレベルアップするクエストや方法が可視化され、どんどん成長を遂げるストーリーだ。「勧めてもなかなか読んでくれなかったんです」という中で迎えたある日。「祐介、読んだよ。めっちゃ面白いね!」と声をかけてきた。

 その時、和田が読んでいたのは、まだ30話ほどだった。だが、その翌日には一気に読み進めていた。伊藤さんは「僕がまだ70話とかだったんですけど、和田さんはもう90話とかまでいっていて、課金されて普通に抜かされました」。この作品は毎週金曜に更新される。「金曜日になったら和田さん、ニコニコして近づいてくるんです。『読んだ?』って、読んでないのわかってるのに。いつも『ネタバレはしないでくださいね』って言っています」と、和田のお茶目な一面を明かす。最新話を一読してようやく同じ話題で盛り上がっているという。

 この日は、昨オフから掲げてきた「6回のマウンド」にも立った。「長く投げれば投げるほどチームにとってプラスになる。信頼というか、6回でも7回でもいけると思ってもらえる投球を続けていくことが大事」と、さらなる“欲”も見せた。成長を止めず、周囲から愛され続ける和田だから、チームを苦境から救うことができる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)