4軍戦で復帰予定も雨天中止に…室内でのシート打撃で実戦形式に復帰
ソフトバンクの泉圭輔投手が25日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」の屋内練習場で離脱後初めてシート打撃に登板した。右手薬指の細菌感染症のため、3日に出場選手登録を抹消され、12日からリハビリ組に合流した右腕はこの日予定されていた四国IL・高知との4軍戦で復帰するはずだったが、雨天中止となったため室内練習場でリハビリ組の打者を相手に約30球を投げた。
「実戦で投げられたら一番良かったんですけど、シートで投げさせてもらえたので、それはよかったかな。思ったより投げられたかなと思います」。リハビリ組に合流後、4度ブルペン投球。この日の登板予定を逆算して調整を進めた。「本当はもっとハイペースで調整したかった部分も正直あったんですけど、やっぱり焦っても良くないんで。そこはしっかり自分の中で見極めながら、順調にはやれているのかなと思います」。はやる気持ちを抑え、冷静にステップを踏んできた。
離脱の原因となった薬指の細菌感染症とは、泉によると「薬指のヘルペスみたいなもの」だという。指から菌が入り、脇の下のリンパが腫れ、一時はゴルフボールくらいのしこりができて激しい痛みに襲われた。1日9時間の点滴を受けることもあった。11日に退院し、現在は患部の痛みも完全に引いている。
「自分は怪我ではないので動ける。それなのに、やっぱり制限がある中でやらなきゃいけなくて、難しさみたいなのはありました」と早期復帰を目指す中でのもどかしさも感じた。例年以上に競争の激しくなったチームで、開幕1軍を勝ち取ったにも関わらず、1試合も登板することなく戦線離脱。どんな思いだったのか――。
「争いは激しいとは思いますけど、その争いが激しかった中でオープン戦、なんとか食らいついて開幕1軍に残ることは出来たので、そこは自信を持って。またイチからのスタートっていう形にはなりますけど、1軍に向けて頑張りたいなと思います」
「1軍に行っても『ここ』ってイニングを任されるピッチャーでは正直、今はない。イニング途中もそうだし、イニング跨ぎもそうですし、ワンポイントとか、ピンチの場面で放り込まれることもあると思うので、いろんな場面に適応できるようにっていう準備はしておきたいですね」
このように自身の置かれた立場と状況、役割を理解している。再び1軍に呼ばれる日まで、あらゆる状況下での登板に準備する考えでいる。とはいえ、野心もある。「決まったイニングを投げられると、必然的に身体も楽ですし、準備するタイミングが決まって、何回も肩を作らなくて済む。そういう部分ではどこかしら固定されるポジションに行きたいなとは思います」と“勝ちパターン”入りも虎視眈々と狙う。
「やっぱり層も厚いですし、競争も激しいので、まずはもう本当にたくさん投げないと信頼は勝ち取れないかなと。いろんな場面で投げて、最終的にどこか試合の後半で投げられるところにいけたらいいなと思います」。信頼を得るためにもフル回転する覚悟を示す。“投手のユーティリティプレーヤー”がさらに頼もしくなって1軍に復帰する日を心待ちにしたい。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)