藤本監督も絶賛の働き「これを続けてくれたらレギュラーに」
■西武 3ー2 ソフトバンク(19日・ベルーナドーム)
密かに“2つの縁”を意識していた。ソフトバンクの増田珠内野手が19日、敵地ベルーナドームで行われた西武戦に「8番・左翼」で昇格即スタメン出場。4回に同点に追いつく適時二塁打を放つと、2点ビハインドの9回には1点差に迫る1号ソロを放った。2-3で試合には敗れたものの、チームの全得点を1人で叩き出す奮闘に、藤本博史監督も「これを続けてくれたら、それこそレギュラーになっていくんじゃないですか」と敗戦の中で光を見出していた。
2回の第1打席でボールをしっかりと見極めて四球を選び、迎えた4回の第2打席だ。中前安打で出塁した中村晃外野手を一塁に置き、西武先発の隅田から放った打球は左中間への適時二塁打に。二塁上ではずっと温めてきた“ペッパーミル”ならぬ“大根おろし”パフォーマンスを披露した。さらに9回には西武のクローザー増田から左翼スタンドへと1号ソロ。2安打2打点と気を吐いた。
オープン戦では開幕1軍入りを目指す気持ちが強すぎるがあまりにグラウンド上で空回りしていた。「どうしても1本打ちたいっていうのが力みを生んだかなと。2軍では常に同じ気持ちで打席に入ることをやってきた。ただ舞台が変わっただけで、野球は変わらない。あまり気負わず、今までやってきたことをやろうと思った」。オープン戦での反省を生かし、この日は結果を求めず、冷静に打席に入った。それが結果につながった。
今季初安打を放った相手の隅田は同じ長崎県出身の同学年。当人同士の面識こそなかったが、中学校時代の同級生が隅田と小学校時代に同じチームに在籍していたことから、当時から隅田の存在は知っていたという。前日18日に1軍昇格が決まり「昨日のうちから(対戦が)あるんじゃないか、長崎対決で負けられないなっていう気持ちで臨んだ」という。そして、今季初本塁打は同姓の増田から。「めちゃくちゃ思い出に残ります」と笑顔で喜んでいた。
第1打席では四球を選び、安打も本塁打もフルカウントから。持ち味である粘り強さ、しつこさも存分に発揮した今季初出場。「監督のコメントでも、そういうしつこい打撃ができるっていうのを見ていたのでちょっと意識したというか、自分の持ち味であると思うので、自分らしさを出せたかなと思います」。もう1つの持ち味でもある元気いっぱいさも随所に見せていた。
笑顔でハキハキと質問に答え、そして最後は「ありがとうございました」と報道陣に丁寧に一礼して、帰りのバスに乗り込んでいった増田。“好青年”全開で昇格した一戦を戦い終えた。レギュラー奪取に繋げるためには、これを“継続”すること。また楽しみな存在が現れた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)