ウエスタン・リーグで打率.340…小久保2軍監督「いつ呼ばれても問題なかった
ソフトバンクの増田珠内野手が19日、1軍に昇格した。藤本博史監督監督は「増田の名前はずっと挙がっていた」と評価し、小久保裕紀2軍監督も「もう内容はずっといいんで、いつ1軍に呼ばれても問題なかったんで」と送り出した。ウエスタン・リーグでは打率.340と結果を残し、今季初の1軍に臨む。
増田はオープン戦中盤に1軍に合流し、8試合で打率.200に終わった。限られた出番でも必死に爪痕を残そうと、全てのプレーで集中力を見せて食らいついていく姿勢が印象的だった。今季が6年目。昨季はキャリアハイの15試合出場だった。経験を少しずつ積んでいるからこそ、1軍への思いも強くなる。オープン戦では最後の最後に、気持ちの未熟さが出てしまったという。
「開幕1軍を目の前にして自分が揺れてしまった。心が揺れてしまったことを踏まえて、2軍では同じ状態で打席に入るようにしています。それが一番大きいです」
ウエスタン・リーグが開幕して14試合に出場。取り組んできたことは「割り切るというところです。我慢するところで我慢はする」だという。それもオープン戦で一定の手応えを感じられたから。「最後の方は悪くなかったので、打撃として変えるのではなくて考え方。1打席で一喜一憂しないで、同じ心理状態で打席に入ること」。反省も収穫も生かして日々を過ごしてきた。何度も味わってきた悔しさが、増田にこう思わせる。
「毎回思うんですけど(1軍にいく時は)もう2軍でやりたくないという気持ちでいくので。つかめるように頑張りたいです」
さらにこう重ねた。「だってもう……」と、左手のひらを自らの鼻先に当てるかのように近づけ「ここですよ! あと1本だったんですから!」。手と顔を使い、1軍までの距離がほんのわずかだったことを表現した。それだけ、開幕1軍は絶対に叶えたい目標だった。明るいキャラクターも代名詞だが、笑顔の裏には味わってきた数多の苦汁がある。
1軍では代打の役割も期待される。チーム打撃や勝負強さは何よりの持ち味だ。代打において大切なのは「焦らないこと」だという。「ストライクは3つあることを言い聞かせて打席に入っています。どうしても前に飛ばさないといけないと思いがちなんですけど、狙った球をファウルにしてしまったら気持ちが押されてしまう」。ここでも意識するのは自然体。やってきたことを信じ、1軍にやって来た。
「2ストライクからの打撃は得意な方というか、なんとか粘るというのは僕ができることなのかなと思うので。そこは生かしながら、諦めずにやっていきたいと思います」。開幕して以降、ファームから野手が昇格するのは初めて。このままシーズンが終わるまで1軍にいる覚悟で、増田珠が立ち位置をつかみに行く。
(竹村岳 / Gaku Takemura)