3度の先頭四球にも「悲観する必要ない」 斉藤和巳コーチが石川柊太を擁護する理由

ソフトバンク・斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・斉藤和巳1軍投手コーチ【写真:藤浦一都】

「反省するべきところはあるけど、悲観する必要はないかなと思っている」

■西武 7ー3 ソフトバンク(18日・東京ドーム)

 ホークスファンのため息が東京ドームに響いた。18日に行われた西武戦は、先発の石川柊太投手が5回途中4失点で降板。2回、3回、5回と先頭打者を四球で歩かせ、3回には外崎、中村に2者連続で被弾した。5回1死二、三塁のピンチで降板し、バトンを受けた又吉克樹投手も外崎に試合を決定付けられる2打席連発の3ランを浴び、さらにペイトンにも2ランを食らって失点が重なった。

 とにかく失点の仕方が悪かった。初回に先制点をもらいながら、2回、3回と先頭打者を四球で歩かせた。後続を抑えて点こそ失わなかったものの、制球が定まっていないのは明らかで不穏な空気は序盤から漂っていた。外崎、中村に被弾した後も、2者連続で四球。5回も9番打者の児玉に四球を与え、これが結局大量失点の引き金になった。

 この日、石川が与えた四球は5つ。昨季リーグワーストの57四球を与えていた右腕にとって、悪癖がまたも露呈する形になり、藤本博史監督も「一番フォアボールが多いっていう中で、ゼロにはできない中でも、先頭バッターのフォアボールというのはやっぱり少なくしていかないと」と、淡々と注文をつけていた。

 確かにファンにとってはストレスの溜まる試合展開だった。ただ、その一方で変わらぬ信頼を口にした人物もいる。斉藤和巳1軍投手コーチだ。「ボール自体は全然悪くはないと思う。ブルペンでも良かったし、ただうまくコントロールできなかった、修正ができなかった。反省するべきところはあるけど、悲観する必要はないかなと思っている」と、この日の石川の投球内容を振り返った。

 投手という生き物はとにかく繊細だ。長いシーズン、状態が良い日もあれば、調子が悪い日もある。調子の良くない日の方が圧倒的に多いともいう。マウンドで投げている間に修正できることもあれば、逆に突然おかしくなることもある。現役時代に150試合に登板してきた斉藤和コーチも当然、それを理解している。1年間戦っていけば、こういう試合も必ずあるのだ。

 石川は今季初登板だった4日のオリックス戦で7回を無四球と好投した。11日の日本ハム戦では5回で2四球を与えたものの、この日は試合途中から腰の違和感を抱えた中での登板だった。決して悪い登板が続いているわけではない。オープン戦、キャンプと石川の姿を見て、変化を感じてきたからこそ、その信頼は一度の登板では揺るがない。

 石川は東浜と共に投手陣の柱を担う立場にある。状態が悪いなりにも試合を作るというのも求められる役割だ。斉藤和コーチも「石川の立場からしたら、どうにかゲームを作って」と語る。このような登板を繰り返してはいけない。この反省を生かした中身ある投球内容を、次回の登板で見せてもらいたいものだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)