ここまでリーグトップの6盗塁とスピード面でチームに貢献している周東佑京内野手の月イチ連載「後編」のテーマは「知られざる素顔」です。野球からは少し離れ、マイブームやオフの過ごし方など、私生活に鷹フルが迫りました。妻からも突っ込まれるという意外な素顔とは? 毎月第2月曜から掲載予定の周東選手月イチ連載、5月は9日に前編を掲載予定です。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも日本中を沸かせた周東がいまハマっているものとは何か。「色々見ていますよ。ネットフリックスで」。まず挙げたのは週刊少年ジャンプで連載中の大人気漫画「僕のヒーローアカデミア」だ。「ヒロアカ」の略称で親しまれる作品で、周東はアニメでこれを見ているという。主人公の緑谷出久が最高のヒーローになるための物語で「今115話くらいです」と笑って明かしてくれた。
3月に開催されたWBCでは、準決勝と決勝が行われた米国へは飛行機での移動だった。10時間を超える空路でも「ヒロアカ」を見ていたといい、米国では空き時間も多かったために一気に進んだ。「外に行ってもわからないですし、あまり外に出るのはやめようと思って。何かあったら怖いですし」と“お部屋時間”を楽しんでいたようだ。
好きなシーンに挙げたのは主人公の緑谷と、ライバルであり幼馴染の爆豪勝己が深夜に寮を抜け出して全力で戦うシーン。ともに師と仰ぐヒーロー「オールマイト」が引退したことが引き金となり、爆豪の劣等感と責任感を受け止めるため、お互いの現状を確認するために全力でぶつかった。周東も「あそこは何回読んでもめっちゃいいです」とうなずく。好きなキャラクターには「常闇踏陰」を挙げていた。
休みの日はどんな過ごし方をしているのだろうか。自分自身のことは「めっちゃインドア」と分析する。「奥さんから出かけようって言われなかったら、ずっと部屋にいると思います」と自虐的に笑った。福岡でオフを過ごす時も「子どもの買い物に行くくらいです。それか、奥さんが行きたいっていうところに行くか。全然、部屋で携帯見たりでいい人間です」と明かす。
子どもと遊ぶ時間はきっと、思っているよりも早く時間が溶けていく。周東は生後10か月となった愛息との遊びに「いや、疲れますよ。疲れます」と苦笑いする。「自分が納得いかなかったらすぐ泣くんですよ。本当大変です」と語る表情は、立派な父親だ。チームメートとも“パパトーク”はするといい「晃(川瀬)とかと『最近めちゃくちゃ動き回るんだけど』みたいな、そんな感じです」と笑顔で話した。
3月のWBCでは少しだけ家族と離ればなれだった。2月中旬から始まった宮崎での合宿。3月からは東京ラウンドを終えて米国での準決勝、決勝という流れだった。春季キャンプ以降は福岡を離れていたため、家族とは「4回くらいしか会えなかったです」という。ビデオ通話しようとしても「もう子どもも寝ちゃっていたりして、なかなか時間が合わなかったんです」と、野球漬けの日々だった。
大会を終えて家族と再会できたのは3月23日。待望の帰宅にも息子は寝てしまっていたという。「ハイハイだったんですけど、つかみ立ちするようになっていました。言葉も結構話せるようになっていて、それはびっくりしました」と成長を感じ取る。一方で「2か月も経っていて僕のことも忘れていて、最初はめっちゃ泣かれました」と、もう一度、父親と認識してもらっているところだ。
「しょうがないです。切り替えています。もう一回覚えてもらうところからです。(家族の顔を見て)やっと終わったんだなって思いました。親の大変さがわかってきました。大変だったんだなって」と育ててくれた家族にも感謝する年齢になった。プロ野球選手と父親の“二刀流”には「きついです。きつすぎます」と苦笑いするが、自分だけの人生を力強く歩んでいる。グラウンドのことも野球以外のことも、全てを知って、ファンは周東を応援する。