密かに励んだ“犠飛を打つ練習”「全く違う」 長谷川勇也コーチも羨む栗原陵矢の打撃技術

ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・栗原陵矢【写真:藤浦一都】

今季初のサヨナラ勝利…この日3打点でリーグトップの13打点

■ソフトバンク 4ー3 日本ハム(11日・PayPayドーム)

 練習してきた成果が文字通り結果につながった。ソフトバンクは11日、本拠地PayPayドームでの日本ハム戦に4-3でサヨナラ勝ちした。延長10回無死満塁で栗原陵矢外野手が左犠飛を放って試合を決めた。チームとしても今季初のサヨナラ勝ちに殊勲の一打を放った栗原は「シンプルに打てる球を、という形で待ちました。スライダーだったと思います」と汗を拭った。

 3-3の10回に周東佑京内野手が安打を放ち、この日3個目となる二盗を決めた。近藤健介外野手が申告敬遠となり、柳田悠岐外野手が中前打で繋いで満塁と舞台は整った。栗原はロドリゲスの初球を振り抜き、三走・周東が悠々と生還する犠飛。「綺麗に打ちたかったですけど、勝ててよかったです」とホッと安堵の表情を浮かべていた。

 3月のオープン戦の最中、犠飛を放った栗原を藤本博史監督が「犠牲フライを打ちにいった打ち方」と表現したことがある。適時打が必要な場面と、犠飛でも1点が取れる場面。指揮官の言葉の通り、栗原は頭の中をしっかりと整理して状況に応じて打席でアプローチをしている。それだけの準備を、ずっと前から長谷川勇也打撃コーチと繰り返してきたからだ。

「最低限っていうのは考えています。練習もキャンプで長谷川(勇也打撃コーチ)さんと色々話をしながらやりました。(意識するのは)技術的なところですね。犠飛を打つためにっていう課題というか、1死三塁で点を取るというのを藤本監督も去年から言っていますし、確実に1点を取りにいくことを考えたときに、必要なことだと思ったので」

 栗原の打撃技術は、長谷川打撃コーチに「羨ましいですよ」と言わしめるほど。そんな栗原にとっても“犠飛を打つ練習”は「あまりそういう意識でバットを出すというのはなかったので、新しい考え、練習でした」と新鮮なものだった。安打を狙いにいく打撃と比べても「普段の自分とはまた違う打ち方」と明かす。「最後はたまたまそっちに飛んだ」と言うが、栗原だからできる応用の領域だ。

 2回、5回にも適時打を放ち、この日は3打点。先輩の近藤と柳田が目の前で出塁していることに「常に準備していますし、チャンスで回ってくるというのは常に思っていることなので。ベンチから集中しています」という。リーグトップを走る13打点となっても「打点は自分1人のものじゃない。繋いでくれている先輩方がたくさんいるので、そういうところに感謝しながらやりたいです」と頭を下げる姿が栗原らしかった。

 開幕して9試合でチームは7勝2敗と好スタートを切っている。「球種やどういう曲がりをするのかを映像でしっかり見ながら、その中で自分が打てるところや、ちょっとした配球を考えながら打席に立っています」と準備の一部も明かした栗原。責任感も感謝もしっかりと持ちながら、ホークスの4番に頼もしく座っている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)