4日のオリックス戦で今季1勝目…無四球で終えたのは昨季は3度だけ
ソフトバンクの石川柊太投手が11日、本拠地PayPayドームで行われる日本ハム戦で先発する。10日に行われた投手練習ではキャッチボールなどで調整し「しっかりと相手と勝負できるように準備してきたつもり。ゲームの中で色々なことが起きても、そこに対してひるまずに投げ込んでいけたら。常々言っているように、ストライクゾーンで勝負できるように。攻めのピッチングができたら」と意気込んだ。
前回登板は4日に京セラドームで行われたオリックス戦。7回無失点で今季初勝利をつかんだマウンドで、本人も納得していたのが無四球だった。2022年はリーグワーストの与四球「57」を記録し、23試合に登板して無四球で終えたのは3度だけ。斉藤和巳投手コーチが就任してゾーンで勝負する勇気を伝え続けてきたが、石川自身にも変わるキッカケはあった。
春季キャンプ中のことだ。的山哲也1軍バッテリーコーチに言われた言葉が自分を納得させた。「なんて(どういう経緯で)聞いたのかは覚えていないですけど……」と前置きした上で、今も胸に秘め、マウンドで心掛けている言葉を明かした。
「攻めている方から考えれば、四球を出した時のランナーはもらったランナー。仕掛けやすいし、大事にしていこうというマインドじゃないというか。そこでチームの雰囲気も変わってくる。ヒットが出たら、次もヒットを打つのはイメージ的にも確率的にも難しい。四球からのヒットっていうのは確率的には、ヒットより楽っていうか。そのイメージが(相手に)乗らせてしまうのが、ベンチのマネジメント的にはあると聞きました」
斉藤和巳コーチも「結局バッターは打って3割。失敗する確率の方が高いんやから」と話すなど、打者にとっては凡退の方が多いのが野球だ。だからこそ四球や敵失などで出塁した走者なら大胆に作戦を仕掛けられると的山コーチから説かれた。DH制で基本的には投手が打席に立たないパ・リーグ。攻撃における、自分にはなかった考え方を知ったことで石川の四球への向き合い方も変わった。
「ピッチャー目線ではあまりない感覚。データ的にどうかは別として、そういう理屈があって、言われてみれば納得する部分もあった。自分的にも、四球を出すこともあるかもしれないですけど、前向きに四球に対して向き合っていくのは大事なことだと思うので。いい話を聞けたと思いました」
石川の姿勢を斎藤学投手コーチも評価する。「迷いがなくなった」と見えるのも「千賀がいなくなったからじゃないですか。自分が今度はそういう立場にならないといけない自覚が、そうさせていると僕は思って見ています。これは巨(東浜)も一緒ですけどね」と語る。石川自身の変化は結果にも、雰囲気にも表れている。
今季からメッツに移籍した千賀滉大投手は、8日(日本時間9日)に2勝目を挙げた。石川も「やっぱりすごい。彼らしいピッチングをしていたので、自分も自分らしいピッチングができれば」ともらった刺激を、自らの結果に変えていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)