【連載・周東佑京】WBCの反響は意外なところでも…SNSで感じた“世界一”の実感

侍ジャパンの一員として世界一に貢献したソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】
侍ジャパンの一員として世界一に貢献したソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

「めっちゃ増えました、WBCで。倍くらい。僕もすごいなって思います」

 鷹フルでは2023年シーズン、4人の選手に毎月インタビューを行い、月イチ連載としてホークスの1年の戦いを追いかけていく。2人目は野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーとして、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝にも貢献した周東佑京内野手。世界一に輝いたWBCだが、意外なところで感じたその反響の大きさを明かす。

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 3月に行われたWBCは日本代表「侍ジャパン」の優勝で終わった。周東佑京内野手は初参加の大会を「本当に僕の今後の野球人生に財産として残るような大会でした」と振り返る。大谷翔平投手(エンゼルス)をはじめ、各チームの主力選手と過ごした時間はかけがえのないものとなった。

 2023年は周東にとって、確固たるレギュラーを目指す年だ。2022年は80試合出場で22盗塁。春季キャンプからアピールする立場でもあった中で、出場機会が限られるWBC参加を選んだ。スタメン起用があり得る選手ならともかく、代走という役割を期待され、打席数が少なくなることもわかっていた。自分自身のチーム内の立ち位置も踏まえて、なぜWBCに参加することを決めたのか。

「やっぱり小さい頃から見ていた大会ですし、あまり成績というか……。必要とされているところで呼んでいただいたので『自分の打席数が』という都合よりも、栗山監督も『勝つために』ということをおっしゃっていましたし。辞退する理由がないと思ったからです」

 2009年の第2回大会以来、3大会ぶりに日本は頂点に立った。当時は「1個上の地元の先輩の家で見ていました」と言い、決勝でのイチローの決勝打は今でも目に焼き付いて離れない。14年が経ち、今度は自分が“あの日”見た歓喜の中心にいる。「不思議な感じですね。本当に自分がグラウンドにいるとは思わなかったです」と実感している。

 首脳陣の配慮は、周東にもしっかりと届いていた。本戦中は1打席に終わったが、大会前のソフトバンク、中日、阪神、オリックスとの試合では15打席に立たせてもらった。「気も使ってもらいながら、ありがたかったです」。本戦中の調整は試合前の打撃練習で合わせるしかなかったが、世界一になるためには通らないといけない道だった。

 世界一となった反響は、意外な部分にも表れた。周東のインスタグラムのフォロワーは約33万人。これには本人も「めっちゃ増えました、WBCで。僕もすごいなって思います」と驚くほど。伸び率も「倍くらいです」と、周東佑京の名前はどんどん広がっていった。「みんな増えていると思いますよ」とSNSの反響は、自分の想像のはるか上をいった。

 もちろん、基本的には通知はオフ。フォロワーが増えていく通知は「見ていないです、全然。『あ、増えてるな』ってくらいにしか見ていない」と話す。それでも「15万人くらいが20万になって、30万、今が33万人って感じです」と驚きを隠せない。「ほとんど何もしていない」という通り、大会期間中の投稿は優勝の報告のみ。それでもフォロワーが増え続けたことに「それだけ見てくれているってことですね」と感謝した。

 開幕して8試合が終わり、打率.231、1盗塁。実戦の感覚を少しでも早く取り戻し、自身の状態も把握できるようにと集中して打席に立っている。「(状態が)いいのか悪いのか、まだつかめない。探り探りです。今も一緒です」という。ヒットこそ少しずつ出ているが「試しながら、考えながらずっとやっています」と感覚を取り戻すかのようにバットを振っている。もちろん、WBCを選んだことに後悔なんてない。

「オープン戦に出ていたからといって、レギュラーになれたかはわからない。僕としてはWBCに行って、いろんな選手と話したりして、得たものがすごく多かった。そこに関しては何も思っていないですし、143試合は長いので。開幕が全てじゃないというか。4月と5月にダメだったとしても、5月6月、そこから7月8月と出ていけたらいいのかなと思っているので」

 チームは8試合を終え、6勝2敗と開幕ダッシュに成功した。世界一を通過点にして、ホークスのレギュラーになること。定めた目標を実現させるため、今も周東佑京は戦っている。

※周東選手の月イチ連載・中編のテーマは「盟友・栗原陵矢の変化」。4月14日金曜日に公開予定です。

(竹村岳 / Gaku Takemura)