鷹フルで新企画の月イチ連載がスタートした。トップバッターは野球日本代表「侍ジャパン」のメンバーとして、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝にも貢献した甲斐拓也捕手。中編では、3連勝を飾って格好のスタートダッシュを切ったロッテとの開幕3連戦について語る。
絶好のスタートダッシュを切った。ソフトバンクはロッテとの開幕カードで3連勝。昨年の開幕8連勝に続いて、3連勝発進を決めた。大関友久投手、藤井皓哉投手、東浜巨投手が先発した投手陣は3試合でわずか3失点。昨季の課題だった四球も3試合でわずか5個と、変化を感じさせる開幕カードだった。
ただ、扇の要としてフル出場した甲斐は「まだ3試合終わっただけなんで」と引き締める。「スタートとしてはいい形で取ることができたと思いますけど、いろんなことをやっていかないといけないのは間違いないんで」。昨季はリーグ最終戦で優勝を逃す結末に。正捕手としてマスクを被ってきただけに人一倍、責任を感じていた。
だからこそ、今季に賭ける思いは強い。「去年もそうですし、何年間も出させてもらって、色々な僕の悪い部分が出てると思う。そういったものを一度、全部どこかで白紙にしないといけないなとは思っているんで。そのために勇気を持って、思い切ってやらないといけないところって出てくると思うんです」。過去の自分を顧みて、このままではいけない、変わらなければいけないと自覚した。
開幕カードでも変化の一端を示した。「ピッチャーがしっかり投げ切ってくれたから」と、いつも通り投手陣の頑張りを称えつつ「3試合でも、今までの自分ではこうやっていた部分っていうのを、違う方向に持っていったりってのはやっていました」と明かす。リード面でも“昨季までの甲斐拓也”とは異なる考え方をしていたという。
「先発ピッチャーも1年間で20何試合か投げますよね。投げ切れない日もあったりするわけで、そこを僕が考えられるようにならないといけない。去年もなんだかんだ開幕8連勝して、最終的に勝つことができなかったっていうのがある。しんどくなる時期も絶対あるんで、チームとして、そういったときに何とか我慢強くすることっていうのはやっぱ大事だと思います」
ついに始まった143試合の長く、厳しい戦い。3年ぶりのリーグ優勝、そして日本一へ。甲斐拓也は扇の要として、並々ならぬ決意と覚悟を胸に2023年シーズンを戦っていく。