屈指のヒットマンが打線に加われば、厚みが増す。ソフトバンクは5日、オリックス戦(京セラドーム)に5-0で勝利した。勝ちに大きく貢献したのは2本の適時打で3打点の近藤健介外野手だ。役割を果たして「勝ちゲームが続いていましたけど、早い段階での先制点はなかったので。そういう意味でもよかったと思います」と振り返った。
1-0の2回2死一、二塁で追加点となる中前適時打を放った。4回2死一、二塁でも一塁線を破る2点二塁打で、この日3打点。5試合を終えて打率.421、1本、7打点。海外FA権を行使し、補強の目玉としてソフトバンクに加入したが期待をはるかに上回る活躍だ。3月のWBCでも全7試合、2番で先発した。今も「ランナーがいたら返すことですし、いなかったら塁に出ること。そこは2番じゃなくても常に意識しているところです」と自然体を強調する。
昨季は開幕から5試合が終了した時点で5勝0敗。総得点は「22」で、放った安打は「39」だった。今季は5試合で得点「27」、安打は「50」と打線全体として成績を伸ばしている。2番に入ったのは昨季は今宮健太内野手が2試合と、佐藤直樹外野手が3試合。今季は近藤が全5試合で2番に入っている。近藤の加入がもたらしている効果を、藤本監督はどう感じているのか。
「打つからつながるよね。次の打者もつなごうと思って4番が返す形になっているよね。柳田は本調子ではないけど、2番と4番が調子いいから、なんとか4番につなごうという形になってきていると思います。本当に頼りになるよね」
指揮官が強調したのは、打線全体に浸透し始めた“つなぎの意識”だった。初回無死二塁で近藤が四球を選ぶと、その後は4番の栗原陵矢外野手が先制の中前適時打。栗原はリーグトップの10打点だ。なかなか確立できなかった得点のパターンだが、今季は5試合目から早くもその輪郭が見え始めている。指揮官は「近藤が2番に入って、柳田がつなぐ。4番が返す。5番(の牧原大)も3安打で、得点になりますよね。いい形ができている」と続けた。
長谷川勇也打撃コーチが強調したのは、前を打つ1番打者への効果だ。今季は牧原大成内野手が2試合、周東佑京内野手が3試合、1番打者として先発している。「2番・近藤」に「出塁率は高いし、うちは1番打者が固定できていない中で、安定感のある打者が2番にいることで、1番は色々トライできる。1番のリスクを減らしてくれる選手だと思います。球数も稼いでくれますから」とした。
周東や牧原大ら、機動力を生かしたい選手にとっても、近藤への信頼が“つなぎの意識”をより深め、先の塁を狙う勇気が増している。長谷川コーチは近藤の2番継続には「この先はわからないので、いろいろ考えながらですね」としたが、近藤の加入が昨季とは全く違ったホークス打線を見せていることは間違いない。
6日の相手先発は2021年から2年連続で沢村賞を獲得している山本由伸だ。藤本監督が「いい投手ですけど、いい形で入っていけると思います」と意気込めば、近藤も「もちろん、スーパーピッチャーなので。少ないチャンスになってくると思うので、そういうところで結果を出したいと思います」とうなずいた。今の打線を試すには、最高の相手となるはずだ。