藤本監督も絶賛「隠れたファインプレー」 周東佑京の中堅守備…実は12球団トップ級

ソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・周東佑京【写真:藤浦一都】

昨季までは主に内野手だったが「内野は送球に不安がある」

 強さを感じさせる3日間だった。ソフトバンクは2日、本拠地PayPayドームで行われたロッテ戦に5-3で勝利し、昨年に続く開幕3連勝を飾った。2回に甲斐拓也捕手、近藤健介外野手の適時打で4点を先行し、そのまま逃げ切った。快勝の中で藤本博史監督が「隠れたファインプレー」と絶賛したシーンがあった。

 4点リードで迎えた6回、先発の東浜巨投手がつかまった。1死から友杉を内野安打で出塁させると、荻野の右前安打、中村奨の三ゴロ野選で満塁に。角中の適時打で2点差に迫られ、さらに1死一、二塁で山口の打球も左中間を襲う当たりとなった。

 この日、中堅に入っていた周東佑京内野手が快足を飛ばしてこの打球に追いつくと、スライディングでキャッチ。すぐさま立ち上がって中継へと返球した。二塁ランナーは生還して1点差となったが、一塁走者は三塁にストップ。間を抜かれれば、同点は確実。試合を振り出しに戻されるのを防ぐプレーとなった。

 周東自身は「追いつけたんで」と、こともなげに振り返ったプレーだが、藤本監督は「あの守備も最高ですね。あれを二、三塁で止めたのが今日の勝因ですから。後ろまで抜けていたら、普通なら帰ってこられるところかもしれないですからね」と大絶賛だった。

 2試合続けて中堅でスタメン起用された周東。昨季までは二塁や三塁と内野がメインだったが、中堅こそが本人にとっても、そしてチームにとっても“最適解”だ。今季、開幕前は牧原大成内野手が“中堅一本”を宣言。二塁には三森大貴内野手が入ると見られていたが、三森の不振により状況は一変。WBCから戻ると、牧原大が二塁に入ることになり、開幕戦は正木智也外野手が、そしてこの日からは周東が中堅に回った。

 実は周東の中堅手としての守備力は、指標で見ると牧原大をしのぐ。守備力を示すセイバーメトリクスの指標には「UZR」というものがある。株式会社DELTAのデータによると、昨季の周東の中堅手としてのUZRは、186イニングでチームトップの「5.4」。1000イニングに換算すると「28.8」となり、これは12球団でもトップクラスだ。一方の牧原大は昨季の中堅でのUZRは「-2.3」と意外にもマイナス。二塁では「1.8」とプラスで、より双方の良さを生かすのであれば「中堅・周東」「二塁・牧原大」が理想の形と言える。

 周東自身も中堅は「不安なくできる」という。ポジション自体に強いこだわりはないが、内野手として送球面には不安があった。「内野は送球に不安がありますし、それだったら強く投げる場面が多い外野がいいんじゃないかと監督とも話し合って。監督からもそういう提案をいただいたんで、それだったら『外野1本でいきます』と言いました」と語り、指揮官との話し合いもあって中堅が“本職”に落ち着いた。

 4回にも前方へのフライをスライディングで好捕したように、その守備能力は高い。もちろん外野手にはライバルも多い。中堅は上林誠知外野手や正木智也外野手、ファームにいる柳町達外野手、さらには二塁に回っている牧原大もいる。このまま周東がこの位置を確固たるものにできるかは自分次第だが、中堅・周東はデータで見ても、最適なポジションであると言える。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)