浜涯泰司打撃投手の連載第2弾…ホークスのBP一筋24年目
チームを背負うキャプテンは、器だって誰よりも大きい。ソフトバンクの浜涯泰司打撃投手は、柳田悠岐外野手の“専属”となって、数年が経つ。近年は“チームギータ”が行う1月の合同自主トレにも同行する。柳田から声をかけられ「たまたま練習中に『浜涯さん、誰か一緒に自主トレいってるんすか?』って聞かれて。行っていないと言ったら『じゃあ来てくださいよ』って」という経緯でサポートすることになった。
柳田に限ったことではないが、裏方さんに自主トレへの同行をお願いするなら食事代やホテル代など、かかる経費は全て、そのチームの“キャプテン”が持つ。柳田の自主トレならもちろん柳田だ。「一緒のホテルに泊まって、全部ギータが面倒を見てくれる。ご飯も一緒に食べさせてくれるしね」と感謝する。
シーズンに比べれば、露出も少なくなり、選手たちの過ごし方が気になるオフ。柳田が何をどう準備して、シーズンに備えているのか。一番近くでそれを見ている中の1人が、浜涯打撃投手だ。
2000年から打撃投手を務めているだけに、柳田のことも入団当時から知っている。人柄については「あのまんま。本当にあのまんま。何も変わらない。インタビューとかと全然変わらない」とハッキリ言った。2022年シーズンは打率.275、24本塁打と柳田にとっても不本意な数字に終わった。今季にかける強い思いは、浜涯打撃投手にもしっかりと伝わっている。
「責任感はすごく出てきていると思う。特に今年は自主トレから、なんか気合い入ってんなぁ…みたいな。それはちょっと感じました。どこがと言われたらわからないけど、雰囲気なのかな。それは感じましたね」
ずっと見てきた中でも、今季への特別な思いを感じ取った。「あのまんま」と表現する人柄ですら、ヒシヒシと伝わってくるほどの強い気持ちだ。柳田は昨シーズンが終わると、すぐさま一定期間に固形物を摂取しない「ファスティング」を敢行するなど、コンディションの管理には特に気を配ってきた。キャプテンとしても2年目を迎え、チームを日本一に導く気持ちは誰よりも強く持っている。
柳田もキャプテンとして、裏方さんに支えられていることは誰よりもわかっている。選手に結果を出してほしいのが裏方さんの思いなら、裏方さんのために勝ちたいのが選手の思いだ。柳田は、キッパリと言った。
「もちろん、僕らが野球できているのは裏方さんのおかげなので。感謝の気持ちをもちろん持っていますし、最後まで持ち続けて、そういう方たちのためにも優勝しないといけないと思います。なくてはならない存在です」
“日本一の裏方”にしたい。柳田の決意をそばで聞いてきた浜涯打撃投手は「すごくスタッフ思いだよ」と、柳田の姿勢と人柄をファンにも伝えたいと強調する。柳田の背中についていくのは、後輩やファンだけではない。裏方さんも、キャプテンの生き方に惚れ込んでいる。
(竹村岳 / Gaku Takemura)