ソフトバンクの2軍の新たなシーズンがスタートした。17日には今年のウエスタン・リーグが開幕。開幕カードとなった中日との3連戦は2連勝で発進し、3戦目こそ敗れたものの、上々のスタートを切った。
今季のファームは2軍といえども激しい競争が待ち受けている。今季から4軍制が発足し、育成選手も含めれば所属選手は120人を超える。支配下登録も現時点で67人を数え、上限の70人まで3人の余裕しかない。54人もの育成選手が、この残り3枠を勝ち取るために競争を繰り広げていくことになる。
まずなんと言っても、今、最も支配下に近づいているのは川村友斗外野手だろう。オープン戦途中から“体験”として1軍に合流した川村だが、初の1軍で“大当たり”。5日の広島戦で初出場し、いきなり2打席連続安打を放つと、9日のヤクルト戦では本塁打を右翼スタンドへ運んだ。ここまでオープン戦打率.357と結果を残している。
バッティング面に注目が行きがちだが、川村の武器は走塁と守備にもある。スローイングが良く、小久保裕紀2軍監督も主力と走力は1軍レベルにあると認めている。支配下昇格に向けてネックとなるのはポジションか。川村の守る外野には柳田悠岐外野手、牧原大成内野手、近藤健介外野手の主力だけでなく、コートニー・ホーキンス外野手や上林誠知外野手、柳町達外野手、正木智也外野手、増田珠外野手ら多彩な顔ぶれが揃う。
ソフトバンクでの支配下昇格の“条件”は1軍の戦力として活躍が見込める選手であること。ここまでの川村のアピールは申し分ないが、シーズンに入って1軍で出場機会を得られるかと言うと、そこはなかなかに簡単ではない。この面を球団フロントがどう判断するかが、支配下へのポイントになってくる。
ファームで存在感を示しているのが育成ドラフト3巡目ルーキーの木村光投手だ。佛教大から入団したばかりのルーキーだが、春季教育リーグで2試合に登板し、6イニングを投げて1失点。際立った球速があるわけではないが、制球が良く安定感があり、2軍では先発ローテの一角として期待されている。小久保2軍監督も「今いる中で1番いい」と絶賛する投手だ。
育成5年目となる重田倫明投手も結果を残している。2018年の育成ドラフト3巡目で国士舘大から入団した右腕は18日のウエスタン・リーグ中日戦で2番手として登板し、3回を投げて1安打5奪三振無失点と好投。小久保2軍監督も「ずっと安定して抑えている」と目を細めており、今後のアピールが期待される存在だ。
現状、1軍でもアピールしている川村が頭1つ抜けた存在ではあるが、果たして朗報は届くのか。有事に備えて、球団としては支配下選手登録の期限ギリギリまではある程度の枠は空けておきたいもの。残り3枠の支配下登録枠。ここに滑り込んでくるのはどの選手だろうか。