15日の巨人とのオープン戦で松田宣浩内野手が「3番・三塁」で出場
ソフトバンクは15日、巨人とのオープン戦(PayPayドーム)に1-2で敗戦した。巨人の松田宣浩内野手は「3番・三塁」で出場し、3打数無安打。昨季にホークスを退団した熱男が福岡に姿を見せ、ファンからは大きな拍手が起きていた。
ホークスの先発は和田毅投手。1回1死二塁で松田が打席に入ると、初球の116キロを打ち上げて一飛。1球での決着に、和田は「がっついてきて助かりました」と笑顔で振り返る。4回無死の第2ラウンドでは141キロで鋭い当たりを許すも、三ゴロに抑えた。オープン戦とはいえ、和田も競争の中にいて、結果を求められる立場。それでも、松田だけは真っ直ぐで勝負したかった。
「1打席目はランナーがいる場面だったので変化球から入りましたけど、2打席目はできれば真っ直ぐで勝負したいと思っていました。首を振って真っ直ぐを投げる場面もありましたけど。大事な競争の場でもあったので、場面的にいける場面ではね。それを楽しみにこられたファンの方もたくさんいたと思うので、いける範囲で(真っ直ぐで)いきました」
2005年大学生・社会人ドラフト希望枠で入団した松田にとって、和田は3学年先輩。熱男と呼ばれ、常にチームを明るくさせてきた松田がいなくなって、今季は初めてのシーズンだ。和田も「代えがいないというか、マッチ(松田)ほど存在感のある選手はなかなかいない。試合前のシートノックでも声が聞こえて、巨人側から聞こえたのは違和感がありましたけど、マッチらしい姿が見られました」と再会を喜んでいた。
今季から三塁に本格挑戦している栗原陵矢外野手にとっても、松田は追いかける背中だ。14日の巨人戦(熊本)の試合前に松田の元へ挨拶へ。会話の内容には「シンプルにサードが難しいですという話をさせていただいて『根性だ』という言葉が返ってきました」と明かした。三塁手としてゴールデングラブ賞8度の名手は、ホークスを去った今も若鷹たちの高い壁になっている。
特に栗原が感じているのは、三塁から投手への声がけ。「タイミングとか、かける言葉とか。シートノックを見ていても、人一倍元気で。やっぱり松田さんすごいなって」と改めて偉大さと難しさを感じた日となった。松田は自身の結果が出ない時でも、周囲に気を使わせることなく、常に先頭に立ってきたチームリーダー。栗原も「(松田さんのように)なれるならなりたいですね。グラウンドのどこにいるかすぐにわかる、存在感のある選手になりたいです」と誓った。
和田は栗原との三塁守備を比較して、松田のすごさを語ったのがスローイングだ。「マッチのところに飛んでボールを捕れば、送球ミスは100%に近いくらい、ない。クリはね、まだワンバウンドとかもありますけど」と語る。だからこそ「サードのスローイングは難しいんだと感じますし、いかにマッチがすごかったのか、クリも見てマッチの存在感はすごかったんだと感じました」と、何度も背中を守ってもらったから感じた違いだった。
当然、栗原だって成長の途中にいる。ホークスの新しい顔になって、ホットコーナーを自分だけのものにしようと9年目のシーズンに備えているところだ。いなくなって改めて松田の偉大さを感じたからこそ、その背中は越えていかなければならない。
(竹村岳 / Gaku Takemura)