5日の広島戦で完封リレー…「9番・捕手」で出場して二盗も阻止
少ないチャンスが巡ってきた。5日に本拠地PayPayドームで行われた広島とのオープン戦で先発マスクを被ったのは谷川原健太捕手だった。「9番・捕手」で6回まで出場し、完封リレーに貢献。2月も含めて今季の対外試合では初めての先発マスクで「僕自身もここまでスタメンがなくて、やってやるぞという気持ちになりました」と振り返った。
先発の東浜巨投手は4安打を浴びながらも3回無失点と、要所を締める投球となった。「カーブも武器なので、カーブもしっかり使って。シンカーに頼りすぎず、カットボールやスライダーを使っていこうという話でした」と東浜との事前のプランニングを明かす谷川原。2回1死一塁では好送球で菊池の二盗を阻止。3回には1死三塁のピンチを迎えたが、マクブルームを空振り三振。西川も中飛に仕留めて、結果へとつなげてみせた。
東浜自身は球威には満足していたものの、決め球でもあるシンカーの精度に課題を感じていた。谷川原は「球自体はきていましたし、変化球も良かった。コースと高さをしっかり意識して、高めのカットを要求したりしてもそこにきたので。ピンチになっても問題視するようなことではなかったです」と東浜の内容にも胸を張った。
甲斐拓也が侍ジャパンに選出され、現在の1軍には嶺井博希と渡邉陸を合わせて3人の捕手がいる。この日、先発マスクを託されたのはアマチュア時代から東浜とバッテリーを組んできた嶺井ではなく谷川原だった。「嶺井さんと組むのかなと思っていたんですけど、昨日(4日)の時点でキャッチャーと言われて。ここでキャッチャーできるというところを見せつけるぞと思いました」と意気込んでいた。
マスクを被ったのは6回までだったが、完封リレに一役買った。コンビを組んだ東浜も「いいと思います。タニとも話はしますし。途中、球種を忘れたみたいですけど(笑)。でも面白かったですよ」と冗談交じりに、谷川原のリードを評価していた。
昨季の先発出場は11試合も捕手での先発はなし。今季はキャンプでもほぼ捕手に比重を置いて、こだわりを持ってポジションを狙っている。投手とのコミュニケーションにも「ブルペンでも、ロッカーとかでも話さないと意思疎通はできないと思います。いろんなところで東浜さんとは打ち合わせをしました」と振り返る。捕手として心掛けているのは、投手の言葉に耳を傾けることだ。
「どういうスタイルで投げたいか、とか。こっちが思っていたことと、投手が思っていることが違ったら一緒に抑えていくことができないと思うので。どう抑えたいのか、どういう球を使いたいのか、というのは意思疎通するために話すようにしています」
4日の広島打線の映像にもしっかりと目を通して準備を重ねたという。「打者のことも頭に入れながら、投手のいい球をどんどん使っていきたいなというのがありました。僕は投手のいいところを引き出したいというのがあるので」と、この日は投手主導の配球が結果につながったと強調した。経験を重ねるほど増えていく引き出しは、谷川原にしかない武器になっていく。
甲斐拓也という高い壁があり、嶺井も国内FAでDeNAから加入した。しかし谷川原は強肩を生かした外野守備も、パンチ力のある打撃も持ち味だ。“第3の捕手”の争いを勝っていけば、1軍の居場所はより確かなものになっていく。チャンスをつかむ瞬間まで、捕手としても準備を重ねていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)