又吉克樹が239日ぶりに立った本拠地のマウンド 背中を押してくれたファンの声

ソフトバンク・又吉克樹【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・又吉克樹【写真:藤浦一都】

7月8日に右足甲を骨折して以来のPayPayドームのマウンド「不思議でした」

 ソフトバンクの又吉克樹投手が4日、本拠地PayPayドームで行われた広島とのオープン戦に4番手として登板した。8回にマウンドに上がると、田村に二塁打を浴びたものの、後続を抑えて1イニングを無失点に封じた。

 又吉にとっては感慨深いマウンドになった。本拠地のマウンドは昨年7月8日の日本ハム戦以来。この試合で又吉は一塁ベースカバーに走った際に右足甲を骨折し、その後のシーズンを棒に振ることになった。「不思議でしたね。『ああ、ここで折ったな』と思って、戻ってきたなと感じながら投げました」。239日ぶりの本拠地のマウンドに立った。

 先頭の韮澤はファーストゴロ。奇しくも、又吉が怪我をしたのと同じシチュエーションだった。「一発目がまさかファーストゴロだったので、こういう時にファーストゴロが来るんだみたいなのは思いました」と笑みを交えて振り返り「無事に怪我なくここまで戻って来られたので、ここからまたコツコツやっていきたいです」と前を向いた。

 自身の状態にも手応えを感じることができた。この日の真っ直ぐの最速は143キロ。まだ上がりそうにも見えるが、又吉自身は「もう十分かな、と。去年は3月20日で140キロしか出てないんで」と納得顔。キャンプ中は自身のボールに納得のいかない様子だったが、「良くなってきましたね。ちょっと腕を下げて体の軸と腕が連動するような形になって、力を伝えるプレーンが長くなった感じ」と復調気配を感じ取った。

 春季キャンプ中は練習の合間などに積極的にサインを書き「1番サインを書いた自信がある」と笑う。誰よりもファンを大事にする“又吉広報”にとって声出し応援の解禁も嬉しいこと。「広島の応援もそうですけど、始まったなと感じました。マウンドを降りたときに拍手もしてもらって、ありがたいなと。これが当たり前じゃないと思いながらやっていきたいなと思います」。

 藤本博史監督が勝利の方程式を担う“7回の男”の候補に挙げる又吉。昨季はシーズン終盤、ポストシーズンでの復帰を目指したものの、叶わなかった。今季こその完全復活へ。怪我を負った“あのマウンド”で、2023年のスタートを切った。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)