今季初の対外試合となったキューバ戦で2打席連続の二塁打
ソフトバンクのリチャード内野手がアピールに成功した。宮崎キャンプ第5クール最終日となった23日、WBCキューバ代表との練習試合で2打席連続の長打。藤本博史監督から「物足りない」と評されていた大砲候補が、結果でレギュラー獲りをアピールしてみせた。
第1打席は2回2死一塁で打席へ。キューバ先発レイバの初球を捉えると、打球は左中間を真っ二つに破る先制の適時二塁打となった。4回1死での第2打席では元中日、阪神のガルシアから再び左中間を破る二塁打。第3打席目は四球で出塁して5点目のホームを踏み、3打数2安打1打点2得点と活躍した。
試合後は「練習でやっている打球ではなかったですけど、ちゃんと前に飛んでいるのでいいスイングをできているのかなと思います」と淡々と語ったリチャード。2本の安打も打球に角度が付かず、ボールに理想的な回転がかけられていない打球だっただけに、納得の表情とはいかなかった。
とはいえ、アピールに成功したのは事実。現に藤本監督も「王会長も最初からああやって振って行ったらタイミングも合ってくるんだってことで、結果も出たし、これを続けてくれたらありがたいですね。しっかり結果も出したし、内容も良かった。どんどんどんどん対外試合でこういう結果を出してくれたら、レギュラーも近いんじゃないかなと思います」と称えていた。
そんなリチャードには心境面での変化がある。この日の試合後も「結果を出してアピールとか考えていないです。結果を出したいとかはない」という。そこには、昨季終盤に味わった苦い経験が大きく影響しているという。
「去年の終盤とか、1軍に上がった時に、そういうこと考えていい結果が出た覚えが1回もないんで。それは良くないものだと信じています。求めることをしない。求めずにやるべきことをやるだけです」
オリックスとのデッドヒートを繰り広げていた昨季終盤、そしてクライマックスシリーズと、リチャードは宮城大弥投手との相性の良さを買われて1軍に昇格した。だが、そこで結果を出すことはできず、すぐさま2軍降格の憂き目を味わった。千載一遇のチャンスとあって、結果を欲しがっていた自分がそこにはいた。そして空回りを起こしていた。
その反省から、結果を求めることをやめた。泰然自若。その時出た結果に一喜一憂することなく、打席の中で自分がやるべきことをやる。その打席に後悔を残すことなく、心に決めたことを貫き通す。そうした意識で今、リチャードはバッターボックスに立っている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)