プロ入り前から体重7キロ増 育成2年目・藤野恵音が描く右肩上がりの成長曲線

ソフトバンク・藤野恵音【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・藤野恵音【写真:上杉あずさ】

筑後でのC組スタートに「春も宮崎でやりたかった。余計に悔しかった」

 宮崎への思いを強く抱き、筑後で汗を流している。「できれば宮崎スタートだったら良かったんですけど、筑後でした。でも、場所は関係なく、とにかく必死にやろうと。ここまでいい感じで必死にやれていて、状態もいいと思います。いつ呼ばれてもいい準備は出来ています」。そう語るのは、育成2年目の藤野恵音内野手だ。

 地元福岡県出身で戸畑高から2021年育成ドラフト1巡目で入団し、ルーキーイヤーの昨季は3軍を主戦場に大きく成長した。昨秋のキャンプでは初めて宮崎へ。怪我ですぐに帰福してしまったため、キャンプを過ごせたのは1クールだけだったものの、その時間は充実していた。「筑後と全然空気が違うというか……。だから春も宮崎でやりたかった。余計に悔しかったです」と唇を噛む。

 悔しさを抱くスタートだったが、“筑後だからこそ”得られた経験もある。「内野手なので、ルーキーの山下(恭吾)や西尾(歩真)さんと一緒にいることが多いんですけど、僕しか去年を経験していないので、いろいろ聞かれることが多いんです。人に説明することで自分の身にもなるというか、再確認できるというか。これはこれでいい経験になっていると思います」。“後輩”が入ってきたことで新たな気付きが生まれ、自身の成長にも繋げようとしている。

 同じ内野手で大卒ルーキーの西尾とはお互いに俊足が武器ということもあり、ウオーミングアップ中から良い競争意識を持って取り組んでいた。「西尾さんは全然(速くない)と言っているけど、速いので(笑)。西尾さんには負けないように頑張ります」。一足先に宮崎でのB組に昇格した先輩とも、良いライバル関係を築いていた。

「今年は本当に体も大きくなったんで」と話すように、入団時と比べて明らかに体格が変わった。76キロくらいだった体重が今では83キロ前後まで増加。もちろん筋量も増えた。今季は長打への思いも強くする。「狙ったら打てないので、ヒットの延長線上くらいの感じですが、長打も打ちたい」と意欲を見せる。

 大道典良3軍打撃コーチも藤野への期待は大きい。「この1年で身体も大きくなったし、スイングの力強さが出てきた。もともと当てるのが上手いバッターだったけど、今年はインパクトの強さがあって、飛ばす力も付いてきたので、将来的には3割20発くらい打てるバッターになって欲しいですね」と成長著しい若鷹の将来像を思い描く。

 打撃のみならず守備面、走塁面でもスケールアップしていきたい。走塁に関しては「まだ自分の脚の筋力が体重についていけてない気もするので、早くこの体重で走れる筋力を付けたい。そうすれば、もっと馬力がついて、違った走りになるのではと思います」と伸びしろを感じている。身体の成長と技術の進化で、昨季以上に“成長”を感じさせてくれそうだ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)