「ブルペンは完璧を求める場所」 藤井皓哉が考える練習と試合の“違い”

ソフトバンク・藤井皓哉【写真:竹村岳】
ソフトバンク・藤井皓哉【写真:竹村岳】

コロナ濃厚接触者も陰性判定経て復帰…ブルペンで約70球

 ソフトバンクの藤井皓哉投手が宮崎春季キャンプ第1クールの4日、ブルペン投球を行なった。2日に新型コロナウイルス陽性者との濃厚接触者判定を受けて練習を途中で切り上げたが、陰性を確認して3日に復帰。自分の状態を確認し「もう大丈夫です」と強調した。藤本博史監督も「休んだうちに入らない」とうなずいた。

 昨季55試合に登板して5勝1敗3セーブ、防御率1.12とブレーク。オフから先発転向を目指して調整を重ね、春季キャンプに飛び込んだ。この日のブルペンでは重点的に取り組んでいるカーブも試した。何度もうなずく表情もあれば、顔をしかめて納得のいかない表情もあった。そこには藤井なりの価値観があるからだ。

「いい球もあるんですけど、まだまだ精度が完璧ではない。僕の中ではブルペンは完璧を求めていく場所なので。ブルペンで完璧に投げられるようにしていきたいと思っています」

 試合の前段階として、練習がある。そこで完璧を求め、不安をなるべく少なくして試合に挑む。ブルペンの先に試合があるからこそ、完璧を求めていると強調した。「ゲームとはまた違うので。どんどん仕上げていきたい」。戦力外通告を経験して、NPBに這い上がってきた。ストイックで前だけを見る藤井らしい考えだった。

 中継ぎではフォークと直球が主な武器で、カーブはなかなか投げられなかった。モイネロのように曲がり幅の大きいパワーカーブを理想としているが「まだまだ比べものにならない。モイネロに比べたらまだこの辺(足元)です」と苦笑いする。もちろん、目標を掲げているからこその自己分析であり「そこを目指していきたい」と表情を引き締めていた。

 球団の大型補強により、チーム全体に競争の雰囲気が浸透している。藤井は昨季の実績があるものの、先発転向するだけにまた新しく信頼を積み重ねるシーズンだ。普段は静かに闘志を燃やす藤井だが「『やってやるぞ』という感じですね。先発はまた新しいことのチャレンジなので。チャレンジしていきたいと思います」と力強い言葉で、現状を表現した。このキャンプで「完璧」を求め、試合では結果を残していく。

(竹村岳 / Gaku Takemura)