筑後で自主トレを公開、個人の数字の目標は掲げず
数字の目標は口にはしなかった。ソフトバンクの東浜巨投手が18日、福岡・筑後市のファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で行っている自主トレを報道陣に公開。「チームが勝てばいいというのが根本的にあるので」と、その“心”を語った。
沖縄尚学高時代は3年春の甲子園で優勝。亜大時代も東都リーグ記録の通算22完封、420奪三振など結果を出して、2012年にドラフト1位でプロ入りした。2017年には16勝を挙げて最多勝に輝くなど、通算63勝をマークしてきた。とにかくチームの勝利を最優先にしてきたのが東浜の野球人生。それは当然、2023年も変わることはない。
「チームが勝てばいいというのが根本的にあるので。僕個人というよりもチームが負けないという大前提のもとでやっているので。僕はそういうふうに思ってやっています」
プロ野球選手にとって自主トレ公開は、その年の抱負や意気込み、目標を語る場でもある。チームの優勝はもちろんだが、2桁勝利や打率3割など、具体的な数字を掲げる選手も多い。さらに、チームスポーツであるとはいえ、プロ野球選手は個人事業主。数字が自分の年俸にも反映されるだけに、当然、個人の成績も大切になる。それでも公の場でチームの勝利が最優先だと言い切る姿が東浜らしい。
最高のお手本も、今季からは近くにいる。通算79勝23敗、2度の沢村賞に輝き“負けないエース”と呼ばれた斉藤和巳投手コーチが1軍投手コーチに就任する。秋季キャンプに参加しなかった東浜は具体的な話はまだだというが「貪欲に聞いていきたい。(聞きたいことは)ありすぎて1つとは言えないです」。現役時代に培った経験を、心得として投手陣に叩き込んでくれるはずだ。
東浜自身にも“勝てる投手”の理想像はある。プロ入り前から「10安打完封が理想」と語るなど、調子に左右されるのではなくどんな時でも試合を作り、投手としての総合力で勝負するのが標榜するスタイル。6月に33歳を迎え、11年目のシーズンに飛び込む。自身が思う投手像を明かした。
「試合をやっていて、ワンチャンスで勝てるとか、負けている場面にしても、僕が粘って耐えて、そういう試合を悪い時でもできたらチームが勝つ可能性が上がる。いきなり10点取られて勝つ可能性がないというのが一番よくない。そういう状況は作らないように」
チームはリーグ優勝を2年連続で逃している。海外FA権を行使して千賀滉大投手がメッツ入りしたが、東浜自身も「千賀がいる、いないは関係なしに毎年(リーダーとしての期待は)言われていることですし、しっかり自覚はしているつもり」と言い切る。チームのために腕を振る。その先に、優勝という最大の目標が待っている。
(鷹フル編集部)