大ベテランと密かに競っていた“球速” 嘉弥真新也が150キロを目指す理由

自主トレを公開したソフトバンク・嘉弥真新也
自主トレを公開したソフトバンク・嘉弥真新也

150キロ目指して新たな取り組みも「スピードが落ちてくると使い物にならない」

 ソフトバンクの嘉弥真新也投手が14日、森唯斗投手らと宮崎市内で行う自主トレを報道陣に公開した。プロ12年目を迎える左腕は昨季、キャリア最高の成績を残した。更なる進化を目指す今季は「スピードを上げたい」と、目標に150キロ超えを掲げた。

 33歳になっても高みを目指すことは変わらない。宮崎市内で自主トレを行う嘉弥真は自主トレのテーマとして「例年通り1年間戦える体と、あとは怪我しないように。あとは課題として、もうちょっとスピードを上げたい。スピードを上げるような練習をどんどんしていきたいなと思います」と語り、ストレートの球速アップを目指す考えのもとでトレーニングに励んでいる。

 そのための取り組みはこの日の自主トレでも見て取れた。キャッチボールの前には色とりどりの重さの違う「プライオボール」を投げてトレーニング。午後からはウエートトレーニングもみっちりと行い「(プライオボールは)今年初めてなので、それがどうなるのかなっていう感じです。スピードを上げるというか落とさないように」と語る。

 嘉弥真がスピードを追い求めるの理由の1つに、負けたくない存在がいるから、というのがある。それが41歳のベテラン和田毅投手だ。実は3、4年前から和田との間で密かに互いの球速で競ってきたという。「僕が投げて『嘉弥真今日球よかったね』みたいな感じで、和田さんも『今日良かったですよ』みたいな感じで褒め合っていました。僕が最初勝っていたんですけどね」。状況が一変したのが昨季だった。

 5月29日の広島戦でのこと。先発した和田は初回に自己最速を更新する149キロをマークしたのだ。それまでの和田の最速はカブス時代の2014年にマークした92.4マイル(148.7キロ)。なんと41歳にして自己最速を更新したのだ。この時、嘉弥真はトレーナールームにいた。「ベッドか何かを叩いた記憶があります」。年上の大先輩に抜かれる形になり、思わず悔しがったというのだ。

「上げないと絶対落ちてくると思うので。スピードが落ちてくるともう使い物にならないと僕は思っているんで、上げるところまで上げていきたい。和田さんも言っていましたけど、150キロ投げられるように。僕もそこを目指して練習はしていきたいなと思います」と誓う嘉弥真。和田を超えるスピードへ。春季キャンプまでにみっちりと体を鍛えていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)