チームへの貢献度を表す「WAR」は投手陣で千賀、和田に次ぐ3位
22日に本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、今季から3000万円アップの年俸1億5000万円(金額は推定)で契約を更改したソフトバンクの石川柊太投手。今季は23試合に先発して7勝10敗、防御率3.37。黒星が先行したものの、大幅アップとなった。
契約更改後に報道陣に対応した三笠杉彦GMは「先発のローテを守って、イニングイーターとして活躍してくれた。勝ち負けに関しては7勝10敗で負け越していますけど、イニングを投げて、防御率も3点台を残している」と説明していた。野球を科学的に分析するセイバーメトリクスの指標で見ると、石川のアップ査定は“妥当”なものだと言える。
セイバーメトリクスの指標で分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照し、石川の投球指標を見ていこう。代替可能な選手に比べてどれだけチームの勝利数を増やしたかを計算し、総合的に選手のチームへの貢献度を示す「WAR」で見ると、石川は2.5となっている。これは千賀滉大投手の4.9、和田毅投手の3.0に次ぎ、チームの投手陣で3番目の高さとなっている。
リリーフ陣と先発陣では、先発投手の方が「WAR」は高く出る傾向はあるものの、今季10勝をマークした東浜巨投手を上回る結果になっている。石川のこれまでの成績を見ても、11勝をマークした2020年の3.2こそ下回っているが、昨季の2.0は上回っており、投手陣の中での貢献度は高かったことが分かる。
また、守備が関与しない防御率を示す「tRA」は3.71で、こちらも日本ハムの上沢直之投手や、DeNAで11勝をマークした大貫晋一投手と同水準。石川自身の成績で見ても、11勝3敗だった2020年は3.72、6勝9敗だった2021年は4.53となっており、ここ3年では最もいい数字となっている。特に被本塁打率を示す「HR/9」が2020年は0.73、2021年が1.27だったのに比べて0.59と良化しており、指標の向上に寄与している。
確かにチーム最多の57四球を与え、打席数における四球数の割合を示す「BB%」は9.7%とやや高め。四球に苦しんだ印象が強い分、そのイメージに引っ張られている感は否めないが、実際に指標を見てみると、投球内容はシーズン全体を通してみるとむしろ良くなっている。BB%も11勝をマークした2020年は9.3%で、今季も大きな差はない。
勝敗に関しては味方打線との兼ね合いにより、投手がコントロールできないもの。現に石川は今季、6回を自責点3以内の「クオリティスタート」を達成しながらも、白星がつかなかった試合が6試合あった。さらにそのうち3試合では、7回自責点2以内の「ハイクオリティスタート」を達成しながら、3敗を喫している。勝ち星に恵まれなかった部分も多くあった。
三笠GMは「基本は今年のベースですけど、それを続けてくれている」とも語り、継続してチームに貢献している点も評価のポイントに挙げている。勝利数や防御率だけでは表れない選手のデータにも目を向けてみると、選手たちへの評価の理由がなんとなく見えてくる。
(鷹フル編集部)