“ポスト嘉弥真”目指しサイドスロー転向 育成20歳左腕はポテンシャル高き有望株

ソフトバンク・大城真乃【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・大城真乃【写真:上杉あずさ】

今季は3軍でチーム最多の119回2/3を投げた大城真乃

 目指すは“ポスト嘉弥真”だ。2020年育成ドラフト7巡目で宜野座高からソフトバンクに入団した大城真乃投手は、宜野座村から誕生した初のプロ野球選手。170センチ、66キロと小柄ながら「直球の伸びやキレは一級品」とスカウトが評する、ポテンシャルの高いサウスポーだ。

 1、2年目の主戦場は3軍で、2軍公式戦の登板はまだ1試合。2年目の今季は3軍戦で29試合に登板し、5勝9敗1セーブの成績を残した。黒星は先行したものの、防御率3.01。主に先発としてチーム最多の119回2/3を投げるなど奮闘し「シーズン中盤あたりは良かったんですけど、終盤になって体力がもたなくて、自分の投球ができなくなってしまった。そこからいろいろ考えて、来季乗り越えられるような体力をつけて、今季の反省を生かして頑張りたいと思います」と振り返った。

 着実に経験を重ねて迎える3年目の来季は、ライバルも増え、勝負の1年になることは重々承知。そんな来季に向けて、今秋から“あること”への挑戦を始めた。「秋季キャンプに入ってから、サイドスローに変えたんですよ」。これまでは上から投げていた大城だが、3年目を迎えるところでサイドスローに転向したのだ。

「嘉弥真さんみたいなピッチャーになりたい」。大城は、沖縄出身の先輩で、対左打者のスペシャリストとしてチームに欠かせない存在となっている嘉弥真新也投手を理想に掲げる。嘉弥真も元々はオーバースロー。背格好も似ており、投球スタイルでも偉大な先輩左腕を追いかけることにした。

「嘉弥真さんは素直に凄いと思っていて、ホークスに結構長くいて欲しいんですけど、跡継ぎも大事だと思うので、そこを狙っていきたいです」と“ポスト嘉弥真”に名乗りを上げる。来年1月は嘉弥真が森唯斗投手らと行う自主トレに参加。沖縄の先輩でもある嘉弥真と交流があったわけではないが、連絡先を教えてもらい、自らお願いした。

 なぜサイドスローに転向することにしたのか。大城によると、フォームの動作解析を行うミーティングで「下半身の動きが、サイドスローの下半身の動き」と指摘されたという。「今までずっと腕を上げて投げてきたのですが、それだとフォームの上と下のバランスが合わなくなるということで、サイドスローにしました」。積み重ねてきたものを変えるのには勇気もいるはずだが、大城は新たな挑戦を楽しんでいる。

「左バッターを絶対に抑えられるピッチャーを目指したいです。対左阻止率100パーセント、それくらい目指さないと、やっぱりいろんなすごいバッターが出てきているので」。現在は新たな投球スタイルでの持ち味を模索している段階。オフの取り組みを経て、尊敬する先輩にも師事し、来春見せてくれるであろう新たな姿を楽しみにしたい。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)