打撃を武器に課題の守備も伸ばす「打ってチームを勝たせるというのも僕の考え」
2日に本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行ったソフトバンクの渡邉陸捕手。今季から250万円アップとなる年俸850万円(金額は推定)でサインすると、来季の目標に「キャッチャーのスタメンとして60試合は出たい」と掲げた。
2018年育成ドラフト1位で神村学園高からソフトバンクに入団し、昨季途中に支配下に昇格。今季は20試合に出場して打率・273、3本塁打、9打点。5月28日の広島戦(PayPayドーム)で2発を放ち、存在感を示した。「1軍の舞台で打てたことは自信になりました」。打撃面の手応えを感じた一方で、課題は守備面にあることは明白だった。
スタメンマスクを被った時には相手チームから足を絡めた攻撃をされることが目立った。渡邉陸自身も1軍で戦う中で、正捕手である甲斐拓也捕手との差も感じたという。
「技術的なところでいうと、スローイングやワンバウンドを止めることだったりは(甲斐さんは)一級品というか、やっぱり凄いなと感じました。他にもピッチャーとのコミュニケーションだったり、1つ1つの立ち振る舞いとかも、ものすごい選手だなと感じました」
持ち前の打力を生かすために、捕手以外のポジションというのも選択肢に出てくる。ただ、渡邉陸は「他のポジションにも素晴らしい選手はたくさんいる」と、捕手へのこだわりを見せる。それは正捕手である甲斐に追いつき、追い越していかなければならないことを意味している。
甲斐は今季130試合に出場。昨年も全143試合に出場するなど、1軍を舞台に戦い続けている。捕手は想像を絶するほど、ハードなポジション。渡邉陸自身が「1週間で1日スタメンで出るだけでも気を使った。シーズンを通して出続けるというのは体力的にも精神的にもタフじゃないとできないことなんだと感じました」と言うほど。技術的にも体力的にも、甲斐との差をはっきりと実感したシーズンだった。
だからこそ、正捕手獲りへの道筋ははっきりと見えている。勝敗の鍵を握るポジションではあるが、打撃が魅力だからこそ「勝てるキャッチャーというのが一番いいキャッチャー。打ってチームを勝たせるというのも、僕の考えでもありますし。打てない日も当然あるので。守って勝つのも、どっちも大事かなと思います」と理想の捕手像を描く。打撃も守備も追い求め、まずは少しずつ信頼を積み重ねていく。
(鷹フル編集部)