プロ入り時から体重12キロ減 劇的な変貌を遂げた育成・佐久間拓斗の楽しみな未来

ソフトバンク・佐久間拓斗【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・佐久間拓斗【写真:上杉あずさ】

入団時は丸々としていた風貌がガッチリとした肉体に変化

 楽しみな育成の大砲候補がいる。背番号149の佐久間拓斗内野手。昨秋の育成ドラフト8位でソフトバンクに入団した長打力が魅力のスラッガーだ。福島県田村市出身で、地元の公立校・田村高から直接プロ入りしたのは佐久間が初めて(同高出身者では4人目)。思い切りの良いフルスイングを武器に、1年目は3軍で76試合に出場して打率.212、2本塁打を放った。

 18日まで行われていた過酷な秋季筑後キャンプに「とにかくキツいです」と充実感をにじませていた佐久間。時折唸り声をあげながら大粒の汗を流す姿が印象的だった。「キツい」というのは体力面に限ったことではない。「悔しいですしね、あっちに行けなかったんで」と宮崎キャンプに参加出来なかった悔しさを吐露。「全部キツい、とにかくキツいです。でも、頑張るしかないんです」。成長するためのエネルギーに変えて、強い覚悟でこの秋を過ごしている。

 プロ1年目の今季は「いいこともあれば悪いこともあったので、次のシーズンはいいことを増やして、自分の長所をもっと出していきたいです」と振り返る。佐久間の長所は当然のことながら「長打、ホームランです」。力強いフルスイングは入団当初から目を引くものがあったが、まだまだ粗さがあった。プロでの練習を重ね、徐々に確実性も増し、高卒1年目で、3軍戦で2本塁打を放った。

 高校時代は捕手。プロに入って本格的に内野に挑戦しており「守備もめちゃくちゃ下手くそだったんですけど、少しずつ出来るようになってきました。ここから一歩ずつ成長していきたい」とステップアップの日々だ。秋のキャンプでは、1クールに1回、捕手練習も行った。今後は捕手としてもプレーしていくのだという。

 丸々としていた入団時とは明らかに違うガッチリとした体格にも目が行く。現在は98キロ。「12キロくらい痩せたんじゃないですか?」と本人も驚くほどプロの練習量で体は絞られた。米と肉が大好きで食事量は減っていないが、過酷なトレーニングで身体が出来てきた。「自分はコツコツです。努力しないとダメなんです」という姿勢もある。競争の激しいソフトバンクでのプロ生活も「這い上がるの、好きです。楽しいです、この逆境」と野心を見せる。

 来季に向けて「ホームランを20本打つこと」を目標に掲げる佐久間。左右こそ違えど、「僕の理想の選手像です」と憧れるのはメジャーリーガーの大谷翔平。ポジションも異なるが、佐久間も内野手と捕手の“二刀流”に挑戦している。伸びしろしかない若鷹がこれからどう成長して行くのか、非常に楽しみだ。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)