「量のMVPは佐藤直」「このオフが大事になる」キャンプ終了後の藤本監督の一問一答全文

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:伊藤賢汰】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:伊藤賢汰】

16日間に及んだ秋季キャンプに藤本監督満足げ「100点満点」

 ソフトバンクは18日、宮崎市の生目の杜運動公園で行ってきた秋季キャンプを打ち上げた。3日からスタートしたキャンプで野手陣は徹底的にバットを振り込み、投手陣も各々の課題克服に力を注いだ。充実の16日間となり、藤本博史監督も手応えの秋となったようだった。

 キャンプを終えた藤本監督の一問一答全文は以下の通り。

――キャンプを振り返って。
「各コーチがしっかり量をさせてくれたこと、それに対して選手が応えたという秋のキャンプだった気がします」

――収穫は。
「強さですね。強さが出てきたんじゃないかな。特に名前を出したら、正木、野村勇ですね。この秋のキャンプで一段と変わったかなというのが見えたし。全体的に見ても、底上げできたんじゃないかなと思います」

――強さをどこに求めた。
「バッティングですね。しっかり強い、コンタクトしたときに強い打球が打てているか。正木も飛距離が伸びたと本人も自覚しているので。正木以外も自信がついたんじゃないかなと思います」

――栗原選手が左膝の怪我から復帰。彼の姿は。
「怪我で5試合しか出られなかったのもあるし、来年にかける気持ちというのはすごく強いと思う。この秋のキャンプは制限付きで来たんですけど、来年サードのポジションでやるということで、守備の基本ですね。そういうのも松山コーチから練習していただいたし、本人も集中力を持ってやってくれたんじゃないかと思います」

――三塁の構想は。
「これはわかりません!たくさんあってわかりません」

――コーチ陣の動きは。
「コーチ陣には厳しさというのをしっかり出してくれと言ってあるので。選手が妥協しないように、その辺はしっかりとできたんじゃないかと思います」

――斉藤和巳投手コーチが加入。
「1軍でしっかり投げてもらわなくちゃいけない投手が来ているわけですから、そのあたりの練習の入り方とか、気持ちとかも変わってきたんじゃないかと思います。田中正義なんかでも、最後に100球以上この秋のキャンプで投げるというのも言っていたし。それが多いか少ないかは本人次第ですけどね。目標をしっかりとできたというところも、斉藤和巳コーチが入ったのがきっかけで、選手のやる気というのも出てきているんじゃないかなと思います」

――課題は。
「チームとしてこの1年間を考えたらチームバッティングが課題で秋のキャンプに入っているんですけど、16日間でそんな変わることはありません。選手がやりやすい形、例えば右に打つにはどうしたらいいか、そういうことを、ただ打って練習するんじゃなくて。バッティングコーチだけじゃなくて、野手コーチも今までやってきた、自分はこういう形でやってきた、そういうものを話しながら、各選手にやりやすい形を指導してもらって、それを練習してもらうという形で。徐々にはよくなっている、いい形になってきている。ただ、2回、シート打撃形式でやりましたけど、なかなか成功率は上がっていないですよね。ここはまだ課題ですね」

――オフに選手に意識してほしいところ。
「オフにチームバッティングの課題というのは、これはなかなか伸ばすのは難しいです。やっぱりオフは自分の体作りとか、春のキャンプに入ってくる形ですよね。そこでチームバッティングを練習してこいというのはなかなかできないので。これは春のキャンプでまたやります」

――スケールアップに取り組んでほしい。
「この秋のキャンプでやった土台というのを軸に、しっかりともう一段階上げてくるという形でね。春の2月1日のキャンプから、アピールしていただいたらいいと思います」

――キャンプのMVPは。
「全員ですね。はい」

――その心は。
「野手も投手も目の色を変えてこの秋のキャンプに取り組んでくれたので。これは1人、2人ではなく全員です」

――来季に向けて
「10月2日、本当に悔しい思いをしたので。来年は必ずリーグ優勝、日本一を目指してチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。あたたかいご声援、よろしくお願いします」

(ペン記者囲み)
――納得のいくキャンプだった。
「コーチも新たになって選手もやらなくちゃいけないことをしっかりとできたキャンプだったと思います」

――全員がMVP。それくらい充実していた
「みんなやることができたので。バットを振らなくちゃいけないやつはバットを振れたし、守備をやらなくちゃいけないやつは守備の形から松山コーチがしっかりやってくれたと思うし。100点満点だったと思います」

――求めていた厳しさは見えてきた。
「見えてきましたね。連続ティーとか、野手で言ったら、普通の練習の中でも1000本以上は振っていると思うんですよね。その後に体幹やらランニングやらをやった後に、また(室内に)打ちにきている姿が、自分からやろうと。量だけで言ったら佐藤(直)。これは朝から最後の最後まで、一番バットを振ったんじゃないかなと。来年そういう効果とか成果が出てくるんじゃないかなと思っているし、量だけで言うたら、MVPは佐藤(直)かな、と。2000本くらい振っているんじゃないかなと思うくらい振っていました」

――少し甘そうな印象もあった。
「それがね、本人がこの秋のキャンプは楽しいと。あれだけ振って楽しいというくらいになったから。ちょっと変わったのかなという思いはありますけどね。でも、全体的に言ったら、これだけ振れたキャンプってのはなかなかないんじゃないかなと思う。ピッチャーも斉藤和巳コーチが入って、斎藤学も田之上も来てもらいましたけど、全員が最後までやることをやっていた。今までのキャンプなら(午後)2時くらいには投手陣は帰っていましたけど、5時、5時半、6時まで、シャドーしたり、そういうこともやっていた。杉山、甲斐野に関してはほぼブルペンに入っていたということやし。そのへんは斉藤和巳効果が出ているんじゃないかと思いますね」

――だからこそオフが大事になる。
「このオフが一番大事になってきますよね。倉野(元)コーチの講演もありましたけど、やっぱりこの秋のキャンプで土台を作って、(オフに)どういうことをするか。ある程度、方向性を決めて、この2か月のオフ、休むところはしっかり休んで、やるときはしっかりとやる。そして、2月1日には今以上のアピールができるように。2月1日が来れば、これはもう内容ですから。体が強くなりましたといっても、バッティング内容が悪かったらどうしようもない。内容、あるいは元気のアピールとか、そういうものでアピールしてもらったら、目立ってくるんじゃないかなと。目立たないと、本当にみんな横一線。特にここに来ているメンバーというのは横一線。実績もある選手は少ないし、そこで目立つためには2月1日から飛ばしてもらわないと目立たないということですね」

――正木選手、野村勇選手は初の秋キャンプでした。
「おそらく昨日も、正木にノックして『しんどかった』という話もしていた。初めての経験だと思う。野村勇に関しては2軍に落ちることなく1軍で完走したわけだし、正木も途中から上がってきてそれなりのものを見せてくれた。期待度は大きいですよね」

――2人は右投手の時にも試合に出たいという思いが強いはず。
「僕は前も言ったけど”左右病”じゃなくて、1年目だから打ちやすいピッチャーの時にスタメンで使ってあげようと。ホップ、ステップと段階があるわけですからね。いきなり右のエース級に立たせて、打てなくてどんどん(崩れていく)より、せっかく1軍に定着するんだったら、打ちやすいピッチャー、相性的にこういうピッチャーだったらいいんじゃないかなというような感じでスタメンとかはやっていったんですけどね。この2人に関してはそこそこ、最後まで1軍に残って。正木にしてもクライマックスでスタメンでいけたし。そういう経験は来年に生きてくるんじゃないかなと思う」

「来年は右左関係なく、打席に立てたらいいんじゃないかと思うし、段階、段階を踏んでいくのがプロ野球ですからね。世代交代と言われている中で、今年若い選手はほぼ経験できたと思うし。ただそれを我慢してずっと見届けるかというと、そんなこともなかなかできないしね。世代交代でレギュラーになるといっても、おそらく1人か2人ですよ。16人の枠に入るといったら3人か4人。4人も入れないかも分からないよね。そういう中で競争していってもらえたら」

――プエルトリコで若い投手が結果を出している。
「当然、行っているメンバーは来年A組に呼ぶ予定ですよ」

――リチャード選手は苦しんでいるようです。
「そこは、きのう小久保(2軍)監督と森ヘッドと3人で食事しながら話していたけどね。キャンプは一応、(野手は)20人でいく予定なんでね。その(20人の枠の)ギリギリのラインですよ。ここにいるメンバーでもギリギリのラインはいるでしょうけど。2月1日の前にね、どういう状態かというのはコンディショニングにも聞いてもらうので。その辺で決めたいと思います」

――野手が20人。
「外国人を外して20人なのか、外国人を入れて20人なのかはまだ決まっていませんけど。一応外国人を外して20人というのを考えています。それでも今のところオーバーしていますからね」

――投手は。
「ピッチャーはまだ投手コーチと話していないので。結局、B組もそこでやるわけですからね。試合に入ったら入れ替わりも当然ある。2月1日にこっち(A組)に来られたら最高ですけど、来れなくてもチャンスがないわけではないですから。こぼれた選手はもっと発奮して、こっちにくるんだという気持ちでやってくれたらいいんじゃないかなと思います」

――20人はオフでどう判断するのか。
「現時点で23、4人は決めていますから。この3、4人のところをどうするかというところですよね。ポジション別でも、キャッチャーは5人もいらない、4人で十分だとなってしまう。サードもたくさんおったら、そこから、これはセカンドいけるとなったらセカンドにいける。(複数の)ポジションをできる人の方が残る可能性は大きいですよね」

–手締めは栗原選手。監督の指名ですか。
「いや、勝手に決まっていました。副キャプテンやからね。キャプテンがいないから副キャプテン。今宮もいるけど、秋のキャンプですから。春は今宮がするでしょう。やりたがりやから、栗原君は」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)