野村勇は外野も挑戦、松本裕樹の起用プランは? 藤本監督の一問一答全文

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

来季は栗原の三塁コンバートで三塁、左翼が競争の激戦区に

 ソフトバンクは28日、本拠地PayPayドームで秋季練習を行った。来季に向けて藤本博史監督は藤井皓哉投手の先発転向構想を明らかにし、松本裕樹投手らも含めた来季の投手運用の考えを披露。野村勇内野手や柳町達外野手らのレギュラー獲りに向けた課題なども語った。

 藤本監督のこの日の一問一答は以下の通り。

――日本シリーズがだいぶ面白く。
「面白くなってきましたね。すごいですね、吉田くんね。あそこでホームランを打ってね。なんか王会長が756号ホームランを打った時のような走る姿を見たね。素晴らしいね。そういうチームと同じ勝率だったと選手は自信持ってやってくれればいいですよ」

――フェニックス・リーグで野村勇選手がレフトもやっていた。
「秋のキャンプからやってもらいます。ちょっと足が張ってると言うんで、そこを無理して、キャンプに入ったときに別メニューにならないためにこっちに戻しただけ。大したことはないけど、あと3試合でやってしまう可能性があるから。秋のキャンプをできないっていうのは困るから戻して。こっちにも行かせたいヤツがおったから。あまり多く行って(ポジションが)被っても、試合に出られないだけやから。元々、谷川原、川瀬っていうのは途中から行く予定だったけどね」

――多くのポジションをこなせた方がレギュラーに近づく。
「勇はそうですね。来年、栗原がサードやるって言うて、サードにはポジション的に川瀬もいるし、リチャードも、周東もいるし、すごい激戦区になる。いろんなところを守れた方がレギュラーを取りやすいんじゃないかな、と。レギュラー白紙って昨日も言いましたけど、白紙の中で守れるところでレギュラー取ってくれたらいいんじゃないかなと思う」

――外野にも柳町選手らがいて競争は熾烈。
「レフトもいっぱいいますよね、正木もいるしね。これから補強がどうなるかもわからないしね。そういう意味では今年の成績っていうのはホップステップジャンプのホップにしてもらって。まだジャンプに行ってない、後半、尻すぼみで柳町は終わってるわけだから。やっぱりレギュラー取ろうと思ったら1年間、貢献できる形にならないと。当然、選手には調子の波は絶対あるんだけど、後半は本当に尻すぼみで、上がってこなかったなっていうのが印象に残るんですよね。そういうのをなくしていかないとですね」

「例えば1年間やった中で、柳町だけじゃないけど、この選手はこういうタイプに弱いとか(があって)、そういうのを外していかないとね。1年目の正木とか野村勇っていうのは、どちらかというと課題は右ピッチャーというところになるんだと思う。左はしっかりもう技術もあるし、結果も出したし、来年レギュラーを取るためには、右を打つためにどうしたらいいかというところ。あの2人は、速いカット系の逃げる球への対応というところが課題になってくる。さっきも野村勇と話し合ったけどね、そういうところをイメージ的に磨いていった方がいいんじゃないかな、と」

「秋のキャンプは当然、その2人に関しては守備より打つ方になってくる。柳町も打つ方になってくる。野村大樹とか増田というのはある程度、勝負強いというところもわかっているんで、スタメンで出るために守備をもっと普通レベルまで上げるとか、そういう課題を作ってコーチがやってもらうということが一番ベストじゃないかなと思ってます。そのために守れるところはいろんなところを守ってもらう、そこでレギュラーを取るという形で。当然、全員が全員じゃないから。三森に外野せい、今宮に外野せいなんて言わない。栗原は今年怪我して、サードをリチャードが取っておけば、そこで問題なかったんですけど、リチャードもなかなか結果を出せなかったというところで、栗原が怪我が治ったらサードに入ろうかって、やっぱりそういう案が出てきますよね」

――野村勇選手はレギュラー取るには20本塁打くらいほしい。
「本数より右ピッチャーの確率ですよね。例えば右と左で同じ打席数立って、左が3割打って、右が2割打てなかった、と、これはレギュラーじゃないから。左を得意にしていても、右は2割5分ぐらい打つとかね、そういう形になれば、レギュラーという形になるんじゃないかなと思います。その確率っていうところですからね。右はこっちから来る、左はこっちから来る、それだけ幅があるわけだからね。バッターに対して対角線で来るわけだから。そういう対角線の球に自分がどう入っていくか。同じように入っても、僕は打てないと思うんですよね。各選手いろいろあると思うんですけど、その辺をちょっと考えたキャンプにしたらどうかな、と思います」

――森投手はフェニックスで先発していた。
「本人とも話し合って、本人が『先発で来年できませんか』と。これはもうクライマックスで負けたとき、シーズン終わったときに監督室に入ってきて『来年先発したいです』って本人から言ってきた。こっちもそういう方向で考えていたんで、一致したというところで、先発で作ってくれと。先発は何人おってもこっちは困らないわけですからね。多ければ多いほど、いいわけですから。やっぱり千賀の穴というのは大きいと思うし、今年の春のキャンプから先発候補はいっぱい作ったけど、結局中継ぎに戻ってる選手も何人かいるわけじゃないですか。中継ぎで用意させていて、先発ってなかなかできないんですよ。先発で用意させておいて、6人、7人の枠から外れて、でも2軍に行かせるのは勿体ないから中継ぎに入れようかということはできますよね」

――春は松本投手も候補に挙がっていた。
「松本は僕は今年の後半、7回のハマり方っていうのはもう素晴らしかったんでね。今もちょっとピッチングコーチと話していたけど、松本は7回、8回に留めたいなって。本人は先発したいって言っているんですけどね。でも、あのピッチング見たら、気持ちも強いし、中継ぎでいきたいなっていうのはあります。逆に、藤井を先発で使いたいんですよね。元々独立リーグで先発やってるし、そういう意味じゃ、俺は藤井を先発に、千賀の穴じゃないけど、あのフォークがあって体力もあるし。ちょっとまたこれから相談していこうかなってのは考えています」

――今まで藤井投手から先発を希望は。
「まだないです。僕の中でそういうイメージを持っているだけです。モイネロでもないしね。モイネロは後ろだろうし、その辺のシャッフルっていうのは秋から作っておけば、十分に春にそういう形で入ってこれる。春のキャンプで『藤井先発いかんか』って言うても遅いから。先発の形を作るためにはやっぱり時間がかかるし、藤井とも1回しっかり話し合って、本人がどういう気持ちでいるのかというのも踏まえて、ピッチングコーチとちょっとやっていきたいなというのを考えています」

「8回の藤井はハマっていたからね。今年オリックスと同じ勝率だったというのは、もう本当ピッチャーのMVPが藤井だから。そういう意味では8回、7回というところは、松本はそこに入ってくるでしょうけど、藤井がいなくなったら、その辺また考えないといけないと思う。ですけど、まずは先発ピッチャーというところを考えないと、と思って、その辺は僕の中で考えています」

――藤井投手の先発を考え始めたのは。
「元々、藤井は独立リーグで先発してるし、広島時代も先発していたから。そういうのは僕も知ってる。8回であれだけのピッチングができて、千賀と同じようなフォーク投げるし、ゆったりしたところから真っ直ぐ154、5キロ投げるわけだから、ゲーム作ることを考えたとしても、十分できるんじゃないかなとは思ってるんですよね。あとは藤井本人の気持ちですよね。8回ハマっているから、もう8回で行きたいですって言ったら、そこは本人の希望を優先するし、本人が先発したいです、そういう気持ちがありますって言うんだったらやってみようか、ということも考えられますよね」

――今日はドラフト5位の松本投手の指名挨拶。
「左ピッチャーはなんぼおってもありがたいですから。大関も先発に戻るし、嘉弥真しかいないわけですから、左の中継ぎで入ってこれれば、十分ありがたい。将来、先発してもいいわけですからね。まずは1軍の投手の中に入るっていうことが一番だと思うし、当然メディカルチェックやって、どこも悪くなかったら春のキャンプ連れて行こうと思ってるしね」

――今年は左が嘉弥真投手だけの時期もあった。
「今の日本シリーズ見ていても、左っていいね。やっぱり左バッターにいいバッターが多いからね、パ・リーグもセ・リーグも。そういう意味では有効じゃないかなと思いますね」

――特に中継ぎで考えているわけではなく。
「当然入ってきたら先発ですよ。でも、とりあえずどういう球を投げるか、まだ目の前で見てないから。映像は見ましたけど、例えば、140キロ投げなくても、ヤクルトの石川みたいに134、5キロの球でも、杉本を三振にとるわけでしょ、インコースの球で。人によってキレがあるとか、キレがないとか、スピン量が多いとか、いろいろ今はあるわけですから。ああいうの見たら、やっぱり目の前で見ないと分からないですよね。160キロ投げるって言っても、見た目は160キロ出てるのっていうピッチャーもいるからね。うちにもおるけどね。誰か知らんけど。ストライク入らんピッチャーもおるしね。その辺をちゃんと鍛え直して、頭で投げられるようになればいいんじゃないかなと思います」

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)