6日の3軍交流試合でプロ初の実戦登板を果たし150キロをマーク
6日に行われたアストロブレーブス(BCリーグの茨城と栃木の合同チーム)との3軍交流試合で、プロ入り後初めて実戦マウンドに上がったソフトバンクのドラフト1位ルーキー風間球打投手。先発して1回を1安打無失点に抑え、真っ直ぐの最速は球団所有のスピードガンで150キロをマークした。上々のデビュー戦となった。
この登板に目を細めていたのが、若田部健一3軍投手コーチだ。高卒ルーキーの実戦初登板を「スタートとしては最高じゃないですか」と高く評価した。右肘痛で長くリハビリ生活が続き、ようやく迎えた初登板。最速150キロを記録したストレートはまだ本来の姿とは言えないまでも、威力十分だった。
プロでは慎重に身体作りを進めていく育成プランだった風間。4月上旬にようやく打撃投手を務め、そこから徐々に段階を上げて実戦へとステップを踏んでいくはずだった。だが、右肘に違和感を感じてリハビリ組へ。地道なトレーニングを重ねる間に、プロ1年目のレギュラーシーズンは終わりを迎えた。
「早く試合で投げたい」とはやる気持ちは当然あった。その思いを胸の奥底に押し込め、黙々とリハビリを続けると、身体はみるみる大きくなった。入団時は83キロだった体重が、現在は93キロにまで増えた。8か月ほどで10キロ近く増えたことになる。筋肉量も2、3キロ増えており、投げられない期間でしっかりと土台作りに励むことが出来た。
若田部コーチは「春先に比べると、こちらとしては物足りない部分もあるけど、これだけの期間を使って調整した中では、まずまずのスタートだと思います。球速自体は3軍レベルじゃないので、いいものがあると思います」と見る。風間本人も、まだまだ体のキレに物足りなさを感じていたものの、それはまだまだ伸びしろが残されていることの裏返しでもある。
当然、課題はたくさん残っている。投げる以外の部分では「まだまだ3軍の他の選手レベル以下ですよ」と若田部コーチは言う。投手としての総合力という部分ではまだまだ鍛錬が必要。「そんな甘いもんじゃない。実戦を重ねないと。3軍にいる選手は中継ぎだったら30〜40試合投げてきているけど、風間はまだ初めて。実戦の感覚とか、そういうのはこれからの話です。秋の練習で、しっかりと“ピッチャー”という形を作りたいと思います」と同コーチも育成プランを描いている。
今後は、フェニックス・リーグへの参加も視野に入れて次回以降の登板機会を探っていく。「今日はまず無事に投げられたこと、将来へ明るいものが見えたこと、課題が出たこと。その3つで良かったんじゃないですか? いいものは持ってるね、やっぱり」と、若田部コーチも風間の将来に期待感をふくらませていた。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)