佐々木朗希を苦しめた三森大貴の“足攻” 大熱戦を制したソフトバンクの執念

6回で佐々木朗希を降板させて生まれた8回の決勝点

 牧原大が空振り三振に倒れた8球目のフォークがワンバウンドに。捕手の松川がボールを弾くと、三森は一気に本塁へと生還した。直前の三盗がなければ、生まれなかった先制点。藤本博史監督も「どんどん、どんどん足でかき回すしかないし、なかなかヒットが続くわけじゃないからですね。ああいうのも1つの手です」とうなずく、この試合を左右するビッグプレーだった。

 必死の粘りも白星に繋がった。初回、3回の牧原大や、3回の甲斐はしっかりボールを選んで四球で出塁。佐々木朗が1試合で4四死球を与えるのは、今季2番目の多さだった。わずか2安打しか打てず、1点しか奪えなかったものの、しつこく食らいついて、6回までに97球を投げさせた。右腕をマウンドから引きずり下ろし、リリーフをつかまえて決勝点を奪った。

「6回で100球近く投げさせて、代わりっぱなで得点できた。これも1つの手かな」と藤本監督。もちろん最少失点で白星につなげた東浜ら投手陣の力投も大きな力になった。チーム全体からにじみ出る勝利への執念が、指揮官が「今年1番しんどかった」という熱戦の勝利につながった。

 これで優勝へのマジックは「4」に減り、残り試合は5試合。敵地で戦う5試合で4勝を挙げれば、自力で2年ぶりのリーグ優勝に手が届く。27日は移動ゲームで西武戦(ベルーナD)。「しんどいですけどね、もうそんなこと言ってられないし。全身全霊で頑張っていきたい」と藤本監督。残り5試合。死力を尽くして、ソフトバンクが頂点まで駆け上がる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)