鷹投手陣が忠実に遂行した“勝負の鉄則” 藤本監督も目を細めた1つの勝因

9イニングで1度も出塁させなかった先頭打者

 中盤以降はピンチらしいピンチもなく、楽天打線を封じ込めていったソフトバンク投手陣。この日の試合は、接戦を制するための“勝負の鉄則”とも言えるポイントがあった。

 この日、ソフトバンク投手陣が出した走者は5人だけ。ソロが1本、単打が3本、そして味方の失策が1個。全ての走者が1死か2死から出たもので、イニングの先頭打者は9イニング全てでアウトに斬って取った。四死球もなく、無駄な走者を一切出さなかった。

 対照的に、攻撃では得点を奪った初回、3回、4回のうち、初回は周東が中前安打、4回はグラシアルが四球を選び、それぞれイニングの先頭打者が出塁して、得点に繋がった。イニングの先頭打者の出塁が、やはり大きく勝負を分けることになる。

 藤本監督もこの点を高く評価していた。「素晴らしいんじゃないですかね。大体、先頭を四球で出したりしたら得点になるっていうケースが多いんで。そこは本当によかったと思います」。リーグワーストの404四球を与えているソフトバンク投手陣。無駄な走者を出さない、イニングの先頭打者を出塁させないことが勝利に近づく一因であることはこの日の試合が証明している。

 ある意味、勝ち方の“お手本”のような一戦だったこの日の試合。ソフトバンクが2年ぶりの優勝を掴むためには、こういった勝ち方、戦い方をここから多く積み重ねていく必要があるだろう。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)