2軍で“連投テスト”どころか方程式入りも? 鷹・田中正義の高まる存在感と評価

西武戦にリリーフで登板したソフトバンク・田中正義【写真:荒川祐史】
西武戦にリリーフで登板したソフトバンク・田中正義【写真:荒川祐史】

「チームの力になることができて嬉しい。この投球を続けられるようにしたい」

■ソフトバンク 5ー3 西武(17日・ベルーナドーム)

 ソフトバンクは17日、敵地ベルーナドームで西武に5-3で競り勝った。初回に牧原大の適時打などで幸先よく3点を先制すると、4回にも甲斐のスクイズなどで2得点。先発のレイが5回まで3失点と粘投すると、6回からは鉄壁のリリーフ陣がリードを守り、西武との差を再び1.5ゲームにした。

 追いすがる山賊打線の勢いを止めたのは、2番手でマウンドに上がった田中正義だった。5回3失点と粘投したレイのあとを受けて、6回にマウンドへ。先頭の愛斗を149キロで中飛に打ち取ると、栗山はフォークでバットに空を斬らせて3球三振。オグレディはフォーク4連投で二ゴロに打ち取り、わずか8球で無失点に封じた。

 3点をリードしたまま、終盤に入ると、7回は松本と嘉弥真、8回はセットアッパーの藤井、そして9回は守護神のモイネロと繋いで見事な無失点リレー。先陣を切った田中正は「与えられた場面で自分の仕事ができたと思います。チームの力になることができて嬉しい。この投球を続けられるようにしたい」と振り返った。

 藤本博史監督も右腕の投球を絶賛した。「投球練習見たら、1球もストライク入ってなかったんやけどね。どうなるんかな、と思ってたけど」と笑わせながら「試合になったらストライク先行するからね。フォークピッチャーだから、まず追い込んだら自分が有利に投球できる。2試合いいピッチングしてくれていると思いますよ」と語った。

 開幕前に右肩痛を訴えて離脱した田中正は8月13日に今季初めて1軍に昇格したばかり。当初は5日間限定の昇格で、その後は一度、2軍での“連投テスト”を経て再昇格させるプランだった。ただ、その力強いボールと投球内容に、そのプランも大幅に変更となりそうだ。

 1軍登録の期間が延長されただけでなく、この日の試合後、指揮官は「当分の間は間隔、イニング空けながら、どっかで連投入れようかっていう計画もあります」と明かす。2軍での“連投テスト”ではなく、このまま1軍に登録したまま、間隔を空けつつ登板を重ね、タイミングと試合展開を見て、1軍で“連投テスト”を組み込むプランが現実的になっている。

 それほどまでに、この2試合の登板を首脳陣を高く評価しているということだろう。登板2試合はノーヒット。この日の最速は150キロ止まりだったものの、ボールの威力、軌道はそれ以上の強さを感じさせる。チーム事情を考えると、この先の終盤戦では勝ちパターンの一角に組み込まれる可能性もありそうだ。

(鷹フル編集部)