開幕前にファーム降格となった際に小久保2軍監督から受けたアドバイス
ソフトバンクは6日、本拠地PayPayドームで楽天に9-1で勝利した。先発の武田が7回途中3安打1失点と好投して投のヒーローとなると、「2番・遊撃」で起用された川瀬が3回に先制の適時二塁打、5回には勝ち越しの犠飛を放って打のヒーローに。2安打2打点で武田と共にお立ち台に上がった。
この日の楽天の先発はメジャーリーグでも活躍した田中将。好投手が相手だけに「いいピッチャーほど腹を括っていかないといけないと思ったので思い切っていきました」と打席に立った。3回2死二塁の第2打席では高めに浮いた真っ直ぐを弾き返すと打球は左翼手の頭上を越えて適時二塁打になった。
同点に追いつかれて迎えた5回1死満塁のチャンスでは田中将の宝刀スプリットに体勢を崩されながらもセンターへ。浅い飛球だったが、三塁走者の松田が果敢にホームを狙って生還。勝ち越し点につながり、これが決勝打になった。
今宮が下半身に不安を抱えていることから、5試合連続で遊撃でスタメン起用されている川瀬。これまで打撃に課題があったが、今季は打席数こそ少ないものの、この日の2安打で打率.293をマーク。攻撃面でも成長する姿を見せているが、この急成長の背景には小久保裕紀2軍監督からの助言が隠されているという。
今季オープン戦で開幕1軍争いから漏れ、ファームへと合流した川瀬に声をかけたのが小久保2軍監督だった。「ゼロからやり直せ、アウトになってもいいからしっかり噛んだ打球、滑らない打球を打つように、と言葉を頂きました。自分のバッティングをイチから見直す時期っていうものをいただきました」。
噛んだ打球――。川瀬といえば、パワーがないこともあり、バットで合わせてレフト前へと運ぶような打球が多いイメージだった。これがバットで“滑る打球”だという。小久保2軍監督が求めたのは、しっかりと捉えたセカンドライナー。「そこから自分のバッティングが徐々に確立していった感じはあります」。現在のバッティングの土台には、この“噛んだ打球”があるという。
愛妻の支えも力になっている。昨季途中に結婚した川瀬は「嫁さんがご飯を作ってくれる。それが本当に僕の中では大きいこと」と言う。毎日、食卓には色とりどりの複数の料理が並ぶ。主菜に加えて、副菜も毎日4、5品。さらにサラダ、フルーツも準備され、栄養のバランスも考えられている。「寮にいるときよりも食べる量は増えたかな、と思います」。プロ入り時は細身だった川瀬の体は逞しさが増してきている。
オフはこれまで師事してきた今宮の自主トレから“卒業”し、1人で鍛える道を選んだ。それも大先輩である今宮に追いつき、追い越すため。「やっぱりショートでと言うのは今も変わらず思い続けていること」。苦しい状況で戦いを続けるチームの中で、じわじわとその存在感が高まってきている。
(鷹フル編集部)