「あれだけ明るくなるのか」藤本博史監督も驚く存在 松田宣浩の“元気の”信念は?

ソフトバンク・松田宣浩【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・松田宣浩【写真:藤浦一都】

ボテボテのタイムリー内野安打で大喜びしてチームを鼓舞した松田

■ソフトバンク 7ー3 楽天(5日・PayPayドーム)

 5日に行われた楽天戦に7-3で勝利し、2位に再浮上したソフトバンク。この試合でチームを盛り上げ、勢いをもたらしたのは、この日1軍に復帰したばかりの松田宣浩内野手だった。

 試合前の練習から人一倍、声を出していた松田。試合前の声出しでもチームを鼓舞し、「7番・三塁」でスタメン出場した試合でも全力プレーで盛り上げた。1点を先制し、なおも2死満塁のチャンス。打球は遊撃の前に転がるボテボテのゴロだったが、この当たりで39歳の大ベテランは全力疾走。内野安打にして貴重な2点目を生み出した。

 一塁を駆け抜けると、腕を突き上げて喜びの雄叫びをあげた。決して綺麗な点の入り方ではなかったが1点は1点。貴重な追加点に「足でも、どんな形でもいいと思うし、やっぱそういうのが大事かなと思うんで、もうこの時期は。後半じゃなくて終盤戦と思ってるので、何とかチームのためにと思うと、そういうのが自然と出た」。形はなんでもいい。勝利に飢えたベテランの内面から湧き出た率直な感情だった。

 新型コロナウイルスの濃厚接触疑いで7月29日に出場選手登録を抹消された。隔離期間が明けてリハビリ組に合流し、ファームの若手と共に汗を流した。3日のウエスタン・リーグのオリックス戦で実戦に復帰。「筑後で若い選手を見ながら一緒にプレーして。必死に頑張ったんで、2試合だけだったんですけど、エネルギッシュにできたので、綺麗に打てなくても、ああいうので表現するっていうのがこの筑後で2日間経験して思ったことかなと思います」と、2軍戦で感じることもあったようだ。

 この“松田効果”を藤本博史監督も強く感じたよう。「マッチが1人いるだけでベンチがあれだけ明るくなるのかな。3打席で交代しましたけど、帰ってきてもね、声出してましたからね。若い選手はそういうのを見習って、早く覚えてほしいなと思います」。松田不在の間も決して暗かったわけではない。ただ、松田が帰ってくるとまた一段、空気が変わる。大ベテランの不思議な“魔力”だ。

 1軍であろうと2軍であろうと、変わらずに元気を出して必死にプレーする。松田は「もう松田宣浩という人間が17年、ずっとプロ野球でやってきたスタイル。別にベテランだからって、打てるときだけ調子に乗るんじゃなくて、打てなくてもどんなときもずっとプロ野球選手であるときはそういうスタイルでやりたいという思いでユニホーム着ている。とにかく必死にやる野球選手」と信念を語る。改めて松田宣浩という存在の大きさを感じさせる試合だった。

(鷹フル編集部)