エース千賀滉大が掲げる後半戦の“カギ” 2年ぶり優勝へ“やってはいけない”ことは?

ソフトバンク・千賀滉大【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・千賀滉大【写真:藤浦一都】

「そこでその点の取られ方をしたら駄目だなっていうのをした方が負けると思う」

 5位までが2.5ゲーム差にひしめく混戦パ・リーグの後半戦がいよいよ始まる。首位ソフトバンクでリスタートの先陣を切るのは、もちろんエースの千賀滉大投手。今季ここまで15試合に投げて8勝3敗。リーグトップの防御率1.70を叩き出す右腕が、2年ぶりのリーグ優勝を狙うチームに勢いをつけられるだろうか。

 29日からの2位・西武との直接対決に向けて、28日に本拠地PayPayドームで行われた練習で最終調整を行った右腕は百戦錬磨のエースだけに淡々としたものだった。後半戦“開幕”と息巻く報道陣に対し「そんなの(意気込みとか)は全然。いつも通り自分のやれることに普通に投げられれば」と冷静に語った。

 パ・リーグの覇権を争う戦いも残り56試合。2位の西武と0.5ゲーム差でソフトバンクは首位で前半戦を折り返した。優勝を勝ち取る上で、重要になるポイントはどこか。千賀は「本当にミスをした方がやっぱり負けると思う」と挙げる。

 ミスと言ってもエラーや失投のような、目に見えるミスだけではない。例えば、味方の得点直後に失点するといったように、野球には、点を与えてはいけないとされるシチュエーションがいくつもある。千賀の言う“ミス”と言うのは、そういった点の失い方も指しているのだろう。

「そこでその点の取られ方をしたら駄目だなっていうのをした方が負けると思う。そこにはピッチャーが大きく関わってくる要素が強いと思うので、ピッチャーでやれることっていうところをなるべく高めていくことによって、ミスの確率を減らしていくことが、やっぱり一番だと思う」。与えてはいけないところでの失点を防ぐこと。千賀はそれをポイントに置いた。

 7月は自責点わずか1。苦しい状況でチームを救ってきたが、「別にそんな僕が何かしたとかじゃない」と、どこまでも冷静で「ミスした方が負けるってのは絶対あると思う。全てにおいて、守備も、攻撃も、走塁も全部あると思いますけど、ミスをした方が負ける。そのためにはまずピッチャーが点を取られないために、全てのことにおいてミスをしないということはやっていきたい」と自身の役割を理解している。

 マウンド上でも気負わず、力まず、冷静なのだいう。前半戦を振り返り「本当に感情の起伏なく、普通に投げることしか今はできなくなってしまっていますし、それがいい方に出ているのか、悪い方に出ているのかというのはあるにせよ、ゆっくりマウンド上にいるイメージがすごく強いので、それは後半も続けていきながら、自分でやることを淡々とこなしていけたら良いかな」と語る。その良し悪しはあるにせよ、好投が続く要因は冷静さにもあるようだ。

 2位西武との直接対決で幕を開ける後半戦。冷静沈着なエースがホークスに白星をもたらしてくれることを期待したい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)