前半戦の投手陣の課題は「四球が多すぎ。なかなか改善されない」
前半戦を46勝40敗1分けの貯金6、パ・リーグ首位で折り返したソフトバンク。開幕直後に栗原陵矢外野手が負傷離脱するなど故障者が続出、6月末には新型コロナウイルスの陽性者が頻発するなど苦しい状況での戦いが続いたものの、なんとか2位・西武と0.5ゲーム差の首位でオールスターブレークを迎えた。
今季が就任1年目の藤本博史監督にとっては、指揮官として迎える未知のシーズン。頭を悩ませながら戦ってきた87試合をどう感じたのだろうか。指揮官の総括の言葉とともに投手、野手に分けて前半戦を振り返る。今回は投手だ。
前半戦のソフトバンクの284失点は、278失点だった西武に次ぐリーグ2位の成績。チーム防御率2.98は西武、オリックスに次ぐリーグ3位となっており、まずまずの数字となっている。先発陣はエースの千賀が8勝をマークし、防御率1.70はリーグトップ。東浜、大関も6勝。リリーフ陣では新加入の又吉、藤井の存在がなんと言っても大きい。又吉は右足甲の骨折で離脱となってしまったが、藤井はここまで防御率0.57と圧巻の成績を残している。
「大関が穴をしっかり埋めてくれた。ピッチャーのMVPは大関かな」
藤本監督は「投手陣では新加入で又吉、藤井が入ってきて、中継ぎのところはすごくいい形で回れたのかなと思います。ローテの柱で千賀、石川、それにプラスして東浜というところはしっかりと結果を残してくれているんで、今の位置にいると思う。それプラス横綱こと大関がローテにはまってくれましたよね。これが一番僕は大きかったと思います」と語り、投手陣のMVPとして先発では大関、中継ぎでは藤井の名前を挙げた。
大関はここまで6勝5敗、防御率2.70をマークし、2完封は日本ハムの伊藤大海と並びリーグ最多となっている。開幕前は開幕ローテの6番目のイスを争う存在だったが、田中正、松本のアクシデントもあってチャンスを掴むと、先発陣にとって欠かせぬ存在に。「もうほぼ松本で(開幕ローテは)決まりつつあるところで、開幕直前の故障があったので。大関がその穴をしっかり埋めてくれた。やっぱりピッチャーのMVPは大関かなと思います」と指揮官も目を細める存在だ。
藤井は四国ILの高知から育成選手として加入。春季キャンプ途中からA組に組み込まれ、開幕直前に支配下契約を勝ち取った。開幕3戦目となった3月27日の日本ハム戦で加入後初白星を飾ると、投げるたびに結果を残し、6月8日の阪神戦まで21試合連続無失点。勝利の方程式の一角を担うようになり、ここまで4勝0敗9ホールド1セーブ、防御率0.57の成績を残す。藤本監督も「投げるたびに良くなってくるっていうところがあって、コントロールも安定しているし、今はもう8回を任せられる投手になってくれました」と全幅の信頼を寄せている。
9イニング平均の与四球はリーグ最多、被本塁打数もリーグ2番目の多さ
その一方で課題もある。藤本監督もこう指摘する。
「四球が多すぎます。特に中継ぎのイニングの先頭打者の四球ですよね。そういうのがやっぱり一番得点に絡んでしまうんですよね。キャンプからピッチングコーチにお願いして、先頭だけは打たれてもいいから、四球だけはやめようということで、口うるさく言ってきたんですけど、なかなか改善されてませんね」
ここまでソフトバンク投手陣が与えた四球数は274個でリーグ2番目の多さ。だが、リーグ最多283四球を与えている西武はソフトバンクよりも6試合多い93試合を消化しており、9イニング平均の与四球を表す「BB/9」は3.18でリーグワーストとなっている。さらには被本塁打数もリーグで2番目の多さだ。
被打率.221はリーグトップにも関わらず、守備から独立した失点率を示す「tRA」はリーグ5位の3.50になる。これは守備の影響を受けない与四球、そして被本塁打の多さが大きく関係している。四球を減らすことができれば、失点はさらに減らせる可能性が高く、後半戦のポイントの1つになりそうだ。
(鷹フル編集部)