打撃コーチも絶賛のポテンシャル ソフトバンクにいる“将来楽しみな”育成の大砲候補

ソフトバンク・山本恵大【写真:上杉あずさ】
ソフトバンク・山本恵大【写真:上杉あずさ】

3軍戦で2試合連続で本塁打を放ち、パンチ力をアピールした山本恵大

 ソフトバンクにまた楽しみな大砲候補が現れた。育成ルーキーの山本恵大外野手。13、14の両日にタマスタ筑後で行われたソフトバンク3軍と四国IL高知の定期交流戦で4番を任されると、2試合連続で本塁打を放った。

 13日の試合では2安打3打点1本塁打の活躍を見せた。1点を追いかける5回の第2打席、右方向への同点アーチ。豪快な一発にベンチも沸き、山本は派手に迎えられた。続く6回の第3打席ではフルカウントから中堅への2点適時打を放ち、この日3打点と躍動。翌14日には、3点を先制された直後の初回の第1打席で同点3ラン。いずれもインパクト十分の働きだった。

 山本は国士舘高から明星大を経て、昨秋の育成ドラフト9巡目で指名された。高校時代は怪我もありながら通算20本塁打、大学時代は通算25本塁打を放つなど飛距離が持ち味だ。身長182センチ、体重86キロと体格にも恵まれた三拍子揃った大型外野手で、投手経験もあって肩の強さも魅力の1つだ。

「元々スイングはいいものを持っている。さらに最近ではバットコントロールも出来て広角に打てるし、追い込まれても逆方向に打てる」と絶賛したのは大道典良3軍打撃コーチ。元々のポテンシャルは高く、その上に「最近、バットを短く持って打席に入るようにしています」と明かす。低めの変化球をブンブン振っていて、扇風機だって(小川史3軍)監督に言われていました」。大道コーチの教えもあってバットを指1本分程短く持つことによって、ミスショットが減り、ボールを芯で捉えられるようになってきた。

“バットを短く持つ”と言えば、山本に助言した大道コーチの現役時代も思い出すファンも多いはず。実は山本は「元々ジャイアンツファンで、東京ドームで“代打・大道”を見ていました」と笑う。少年時代にファンとして見ていた存在から、現在は打撃を教わっているということにも不思議な縁を感じている。

 ルーキーながら春季キャンプでA組参加を経験するなど、首脳陣からの期待も大きい存在で、藤本博史監督も山本の豪快なスイングを評価していた。ただ、5月に大学時代から故障歴のある肉離れが再発し、一時、離脱を余儀なくされた。リハビリ組にいる間は、好きだったウエートトレーニングを中心に身体作りに力を入れてきた。

 現在は3軍を中心に実戦に出場しており「早く2軍でヒットを打ちたいなと思います」と、一歩ずつステップアップすることを狙う。「ホークスには凄い選手がいっぱいいる」と日々刺激を受けながら、入団時に掲げた「本塁打王」の目標達成に向けて充実のルーキーイヤーを過ごしている。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)