必死さ見える選手が「誰もいない」 鷹・小久保2軍監督の一問一答全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】

一発を打ったリチャードや増田にも苦言「そんな甘い世界じゃない」

 ソフトバンクの2軍は8日、タマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグの阪神戦に2-5で敗れた。5回に増田珠内野手の2号ソロで同点に追いついたものの、終盤に勝ち越された。先発の田上奏大投手は7回途中4失点。6回までは粘りながら1失点にまとめるも、7回に連打と野選などで勝ち越しを許した。4点を追いかける9回にはリチャード内野手の9号ソロが飛び出すも、及ばなかった。

 試合後の小久保裕紀2軍監督の一問一答は以下の通り。

――増田選手が同点弾。また調子が上がってきた。
「6月はあんまり良くなかったですけどね。ホームランはよかったですね。率的にも2軍でまあまあ試合に出しても許されるかなってのは増田くらい。2割8分ぐらいかな。ただ、それだけじゃ1軍にはいけないですね」

――1軍では右打者が求められていた。何が足りない。
「やっぱり守るところも含めてですね。トータルでは、代走でいけるかって言われたらいけないし、守備固めができるかと言われたらできない。ということは、よほど打たないといけない。という中でいったら、じゃあ野村大樹の方が面白いかなっていうことで大樹が上がったわけですから」

「自分のライバルがどこのレベルにあるのか。もう彼も入って5年目でしょ。今年、大卒で入ってきた子たちと一緒なんで。じゃあ、その子たちの大学4年間と、自分のプロ4年間と、本来なら差がついていないとおかしいはずなんですけども、残念ながら、そうはあんまり見えない。厳しい言い方ですけど、みんな1軍でやりたいからやっているわけで。別に2軍で満足なら、もうどうぞゆっくりしてくれていいんで」

「今ミーティングでも話させてもらいましたけど、僕らはやっぱりこの世界でいい思いさせてもらってるんで。もったいないです、取り組みを見てると。実力がないからできません、実力ないんでしょ? だったら実力をつけるために何してますか? いつもバット振ってるねって選手、誰もいないです。正木くらいです。誰もいない。打てない、1割台ぐらいでも試合に出してもらってて、アーリーやってます、アーリーちょこちょこっと20分ぐらい打っただけで上手くならないです。そんな甘い世界じゃないんで」

1軍デビューした中村亮は「足りないところが分かって、取り組みが変わるんで楽しみ」

――リチャード選手は今日もホームラン。6月末に会長が来られてから良くなった。
「ちょっとは良くなったけど、今日の1、2打席見ました? 普通のコントロール良いピッチャーで、あれ2軍のピッチャーですよ。1軍だともっとキレがあって、もっとコントロールもいい。こう投げて、こう投げて、こう投げたら三振するなっていうのが手に取るようにわかります。最後はたまたま配球的に真っ直ぐでセンターフライ行きましたけど」

「藤本監督もなかなかゴーサインが、僕も出してないですけど、藤本監督は期待してるんで、早くそれは1軍でやってほしいですけど、じゃあ自信持ってそれを推せるかって言ったらそういう姿ではないですね。姿というか、技術不足だと思うんで。会長が来てからちょっとは良くなったなとは思いますけど」

――会長が来られてからは、由宇で幻の本塁打(降雨コールドにより記録に残らず)も含めて4HR。
「その次の日の試合内容は全く駄目で、今日もただ振ったら、最後にホームラン。もちろん打てる魅力はありますよ。でも、チームの中心として彼に勝敗を背負わせられるかって言ったら、絶対に無理ですね」

――育成の伊藤大将選手が3軍から上がってきて1番で起用。
「ずっとバッティングの対応が良かったんで(1番を)やってましたけど、今日、緒方が上がってきたんでね。治って。伊藤も今日、松山コーチに怒られてました。最後ヒットを打って二塁打を狙う姿が全くない、と。人と同じことをしてて、上に抜けられるのかっていうことを伝えられてました。『お前なんでセカンド狙おうとせんのや』って。もうおっしゃる通りです。多分、今で満足してるんじゃないかなと思いますね。みんながみんなじゃないかもしれんけど、大多数が。永遠にこの世界が続くっていう錯覚をしているように感じることが多いです。この半年やってみて」

――中村亮太投手が1軍デビュー。ご覧になられましたか?
「1軍でずっといるのか、落ちてくるのかはわかりませんが、彼にとってはもうこれ以上ない経験。あれをプラスにしないといけないし、やっぱりファームだったら、あのシンカー投げてたら空振りを取れたのが、1軍ならストライクからボールでも見送られ、真っすぐもファウルされ、結局、打ち損じされないと。やっぱり根本的に真っすぐの精度っていうか、真っすぐをもっと磨かないと、あのシンカーが生きてこないんだってことは学んだと思うんで。ああいうところに行って、足りないところがわかって、不足分がわかって、取り組みが変わるんで楽しみですね。それで変わらんようなら上には行けないです」

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)