渡邉陸は「外野だったらずっと出続けている」 鷹・藤本監督の一問一答全文

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

リーグ戦再開に向け「得点圏打率は全球団低い。ウチだけじゃない」

 ソフトバンクは16日、本拠地PayPayドームで全体練習を行った。17日の楽天戦(PayPayドーム)からリーグ戦が再開。藤本博史監督はここからオールスターまでの29試合の戦い方について言及。積極的に行っている1軍と2軍の入れ替え、若手の継続起用についての難しさなどについても語った。

 藤本監督の全体練習後の一問一答は以下の通り。

――リーグ戦が明日から再開。
「開幕のつもりでやってくれたらいいんじゃないかなと思います。オールスターまで29試合。この29試合をどう戦うかで後半戦の入り方が変わってくると思うんで、29試合を大事に戦っていきたいと思います」

――千賀投手が先陣。
「勝ちに見放されているんで、先に点をやらないっていうピッチングを、エースらしいピッチングをしてもらいたいなと思います」

――相手は田中将大投手。
「投げ合いになるか、打ち合いになるかはわかりませんけど、打つ方は何とか田中を早めに早めに攻略できるようにやっていかないと。当然、動かしていくのも大事かなとは思いますよね。田中将大どうこうより、パ・リーグのピッチャーほとんどがいい。ほとんどがエース級というか、誰が来てもいいピッチャーばっかりなんで、田中将大だからと構える必要はないと思うんですよね。いいピッチャーが来るっていうことで」

「次の次も早川が投げるわけでしょ。辛島、早川か。辛島は元々、うちが苦手にしてるピッチャー。そういう意味ではやっぱり来るピッチャー来るピッチャーがいいピッチャー。今まで戦う中でいいピッチャーが当てられているわけだから。もう山本だからとか佐々木朗だったからとか構えないで、すごいピッチャーが来るんだって、打線がやっていかないと」

「得点圏打率は低いけども、全球団低いから。ウチだけじゃない。そういうところはやっぱりパ・リーグのピッチャーがよくなっているっていうことだと思うんだよ。その中で勝つためにどうしたらいいかということを考えたら、先にこっちは点をやらない、先に点を取るって、そういう事をやっていくことが勝ちに繋がっていくんじゃないかなとは思います」

登録抹消中の柳町は「守ったときにどうか」

――開幕9連勝は接戦に勝っていた。
「当然ビッグイニングを作って勝った方がベンチは楽だけど、やっぱりそういうふうになってるんですよね。勝ってる要因は、やっぱり先取点とって、7、8、9回のところで勝ちパターンを相手チームに投げさせていないというパターンになってると思う。調整登板で投げてくる可能性はありますけどね。そういうゲームを作っていくのが大事じゃないかなとは思いますね」

――柳町選手の状況は。
「センターを守る予定なんで、どれだけ守れるかですよね。一応10日間でこっちに上げるという約束をしてる。ただちょっと(予定は)ズレてるような、この3連戦の1試合目に出られなかったというのは。元々、1試合目はDHで出て、2試合目守って5イニングくらい出て、3試合目フルに出て、明日のスタメンでこっちは考えてたんだけど、思ったようなスケジュールで行けなかったのかなと」

「ただ、昨日の試合も見ていたけど、タイムリーも打って、一塁からホームまで走ってくる姿を見たら痛みはなさそう。だけど、止まるときに(箇所が)太ももの前だから、止まるときに痛みが出るんじゃないかなっていうのは感じるところがあります。守ったときにどうかだよね。今日次第」

――大丈夫であれば明日上げる。
「来たらスタメンですよ」

――三森選手は右肘にデッドボール。
「状態が悪いから2軍の試合に出て、明日はセカンドでいこうとこっちは考えているけど、病院で今日は試合出てないからね。明日また考えなくちゃいけないですよね。周東が上がってきて、三森が万が一出られなかった場合でもシミュレーションはできるんで、戦力的には全く問題ない」

「デッドボールは事故だからしょうがないけど、あとは三森が状態を上げてくれて、1番に入ってくれるのがこっちはベストだと思ってる。1番にこだわってもらいたいというのも当然あるし。前半あれだけ引っ張ってくれたわけだから。このまま終わってしまったら去年と全く一緒になってしまうので、壁を破っていかないと」

「核になる選手はやっぱり試合の中で結果を出してもらわないといけない」

――対楽天は久しぶり。
「あまり対楽天っていうことで、あまり構えることもない。現時点では1位と2位ということで、周りは首位攻防戦とか言うけど、選手もそんな考えてない。3連戦のアタマをしっかり取って勝ち越す、うまくいけば3連勝っていうことを考えて皆やってくれていると思う。そんなにガチガチになることもないと思うし、今まで通り。ただ、各個人が繋ぐ野球というか、なかなか繋ぐ野球ができてないんで。特に交流戦では後半なかなか打線が繋がらなかったというところもあるし。そこはもうこの4日間で、2日間しっかり体を休めて、昨日と今日の練習でしっかり調整できてんじゃないかなと思います」

――ヤクルトの3試合目は。
「当然、甲斐も村上を3戦目に抑えた配球というのは、ビデオで撮って森福の解説を聞いていたけど、明らかに違うリードをしてるって。解説者も分かっているわけじゃないですか。やっぱそれで抑えたっていうのがね。そこで打たれたらまた勉強だけど、そこで抑えたっていうのはね」

「あれだけ無双していた村上を3戦目に打たせなかったというのは甲斐の引き出しが増えたんじゃないかなと思います。外一辺倒ではないし、インコースも使ってるんだけど、まあ外が多いという中で村上に対してあれだけインサイドに投げてバッティングさせなかったというのは、甲斐のリードがこれから広がっていくんじゃないかなとは思いますね」

――石川投手、東浜投手はオリックス戦で登録すると思いますが、野手は増やす?
「いや、もう増やさないです。増やしても“上がり”(ベンチ外)を作るだけじゃないですか。渡邉陸も2軍の方に行ってもらいましたけど、ある程度できるっていうところを分からせてくれて、ヘッドも言うとったけど、大関との1週間に1回のスタメンだったら、2軍で試合に出ている方が彼のためにもなるし、ある程度キャッチャーとしての練習はもっともっとしないといけないところ。今度上がってきたときは、また出番が増えてくるじゃないですか」

――あとは柳町選手が上がるかどうか。
「柳町が上がって17人でしょ。柳町が上がったら、1人落ちないといけないからね。次の石川の登録までは置いておけるけど、置いといても、1人が“上がり”になるからね。前は18人いて、キャッチャー1人が必ず上がりになるし、ガルビスも上がりにしたけど、登録してるのに野手の上がりって、かわいそうだなっていうのは自分の中にある。それなら2軍の試合に出ていた方がいいんじゃないかなと思う」

「2軍に落ちたからって戦力じゃないということではないからね。ガルビスにしても、こっちは戦力として考えてるし。柳町が上がって誰かが代わりに落ちたと言っても、戦力として考えてるから。戦力と考えて、1軍のベンチで試合に出ないんだったら、2軍で試合に出ていた方がいいんじゃないかなという考え。落ちるからといって、落ち込むこともないですし。1年間こういう入れ替えはどんどんどんどんやるつもりでいるし、悪かったら2軍に行ってもらう」

「実績のある選手は別です。実績のある選手、核になる選手はやっぱり試合の中で結果を出してもらわないといけないし、調子が悪いからって2軍で調整してこい、というのはまずないです。試合の中で状態を上げてくれっていうことしかできないんで。1試合1試合、やっぱりここまで良い順位にいるわけだから、まずはオールスターまでの29試合を良い形で試合をできればと思ってます」

「渡邉陸が外野だったら、おそらくずっと出続けてます」

――昨日も開幕9連勝のときみたいに、と話していた。
「開幕9連勝したときの状態も、そんなに特別良いわけじゃないですよ。野村勇の走塁で勝ったり、打てなくても泥臭い1点を取って勝ったわけだから。横綱相撲をしているわけじゃないから。パ・リーグは本当に全部のチームが強くなってる。日本ハムなんか最下位だけど、新庄監督が若い選手を本当うまく使ってね、ホームランは1番多いから。やるの嫌だもん」

「何をしてくるか分からないし、初球からブンブン振り回してくるし、一発があるし。パ・リーグ全体がレベルアップ、特に投手陣が良くなっているんで。投高打低って言われてるけどその通りだと思います。なんぼいいバッターが揃っても、いいピッチャーがきたらそう簡単には打てないから。これからの29試合でどこが抜け出すのか、どこが落ちるのかっていうのは分からない。この29試合を大事に戦っていきたいというのはすごく感じます」

――若手をどんどん使う。これはなかなかできることじゃない。
「うちは今までずっと強いチームでしたからね。去年は4位になりましたけど、ずっと日本一、4連覇とか、王会長もいつも言われるように勝たなくちゃいけないチームということ。その中で世代交代ってすごい難しいけど、ここまで2軍から小久保監督が推薦されて、できるだけ使えてるんじゃないかなとは思います」

「ただ使い続けたいんですけど、同等のレベルの選手が多いんですよ。牧原(大)は本当にジョーカーとして、もういろんなところをやってもらっていますけど、例えば、三森は1番で使いたいけど、三森がいなくてもシミュレーションで周東が入れたり、と同等の選手がたくさんいるんです。そういう意味ではやっぱり使い続けるってのは難しいですよね。3連戦使って、3つともポンって打ってくれたら、そのままずっと行く可能性ありますよね。プロ野球の世界ってのはそういうもんじゃないかなと。僕でもプロに入って、初安打初ホームランを打った2日後に2軍だったから。南海時代で弱いとき、6位のときですよ」

「僕だけじゃなくて他の選手もみんな少ないチャンスをモノにして、渡邉陸みたいな初安打がホームラン、2打席連続ホームラン、ああいう鮮烈なデビューをして、そっから続けて出て、レギュラーになるっていう形なんです。ただ、キャッチャーというポジションは1つしかない。渡邉陸が外野だったら、おそらくずっと出続けてます。打てなくなるまで。やっぱりキャッチャーというポジションは、ピッチャーとの相性もあるし、そういうとこが一番難しいなと」

「だから渡邉陸も、バッティングがいいのは最初からわかってるわけだから、キャッチャーとしての勉強も大事。1軍に残ろうと思ったら、外野の勉強もするべきじゃないかなと思うんですよ。言い方悪いけどね、キャッチャーをしないときに、外野の守備固めでいければ、打席にも立てるわけですから。1軍に残れる可能性がどんどんどんどん増えていくわけですよ」

「だからって外野にするわけじゃないですよ。メインはキャッチャー。ただ、そういうのもありかなと思って、その辺は小久保監督とも話をしてます。2軍でもやらせてくれ、試合の中でも使ってくれ、と。キャッチャーをしない時はね。そういう形で若い子に打席をどんどん増やして行ってあげないと。頭角を現してくれないと、使い続けることはできないから」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)